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飯田の「天龍若鮎」復活へ 閉店した松寿堂から「いと忠」が継承

復活した松寿堂「天龍若鮎」、10月1日から飯田市龍江の「あざれあ」で販売を開始する

復活した松寿堂「天龍若鮎」、10月1日から飯田市龍江の「あざれあ」で販売を開始する

 今年1月に閉店した飯田の和菓子店「御菓子司 松寿堂」(飯田市八幡町)の菓子「天龍若鮎(わかあゆ)」を南信州菓子工房(阿智村)傘下「いと忠」が引き継ぎ、10月1日から、農産物直売所「あざれあ」(龍江)で販売する。

アユの姿をかたどったもなか種に、白ササゲを使った白あんを詰めた「天龍若鮎」

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 松寿堂は1924(大正13)年創業。「天龍若鮎」は、昭和30年代初めごろに誕生した。アユの姿をかたどったもなか種に、白ササゲを使った白あんを詰める。50年以上にわたり味を変えず作り続け、同店のほか市内の土産物取扱店などにも並び、市内外の客に親しまれてきた。

 5代目の黒田誠さんが今年1月、体力的な理由からに店を閉じた後、南信州菓子工房の木下裕亮社長が「長く親しまれてきた菓子を守りたい」と製造の継承を申し出た。製法だけでなく、形や大きさ、味も変えずに引き継ぐ。

 9月14日には松寿堂で初めて研修を行い、いと忠の社員2人が黒田さんから製法を習った。この日は黒田さんが炊いた白あんをアユ形のもなか種に詰め、包装するまでの工程を実践。黒田さんが手本を見せた後、2人が一つずつ作業を行った。

 黒田さんは「このあんは水分量が多く、普通のもなかのあんより柔らかいので、皮に詰めるのが難しい。50年近く続けてきたので自分は慣れているが、最初は苦戦すると思う」と話す。

 研修に参加した、いと忠で菓子作りを担当する清水さんは「昔からある大切なお菓子で、これまで何度も食べてきた。あんが柔らかく、アユの形からはみ出さないようきれいに詰めるのが難しい。黒田さんがやると簡単そうに見えるが、実際にやってみると熟練の技はすぐには身に付かない」と研修初日を振り返り、「メンバーでしっかり引き継いでいきたい」と話す。

 今後は松寿堂で使ってきた製造機械を「あざれあ」に移し、製造を始める。当面は黒田さんが白あんを炊きながら、いと忠の社員への指導を続ける。黒田さんは「水分量は決まっているが、機械で自動化というわけにはいかない。手作りが一番。配合だけでなく、あんを練る時の感覚も覚えてもらいたい」と話す。

 黒田さんによると、閉店後も「できたら送ってほしい」と客から電話があり、電話の周りには送り先を書いた紙が残っているという。「引き継いでもらい、お客さまに喜んでもらいたい。飯田のお菓子の文化をつないでいってもらえたら」と期待を寄せる。

 いと忠事業部長の加藤雅芳さんも「祖母がよく買ってきてくれた『天龍若鮎』に幼い頃から親しんできた。飯田で長く愛されてきた天龍若鮎がなくなってしまうのは悲しい。昔からの味を変えることなく引き継ぎ、今度は天龍峡の地で復活させたい。待っているお客さまに届けられたら」と話す。

 10月1日から「あざれあ」で販売し、その後、市内の売り場などでの販売も予定する。

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