飯田の和菓子店「信州飯田の菓房 田月(たげつ)」(飯田市伝馬町)が8月26日、創業110年を迎える。4代目の城田茂さんは菓子作りを続ける傍ら、学校などで菓子教室を開き、地場産業として発展してきた飯田の和菓子の歴史を伝えている。
同店は1917(大正6)年8月26日、阿南町北条出身の初代・城田喜知(きち)さんが、当時の飯田の花街の入り口で菓子を販売したのが始まり。1927(昭和2)年に現在の場所へ移転した。喜知さんの妻・ときゑさんが2代目、息子の一さんが3代目を継ぎ、現在は一(はじめ)さんの息子・茂さんが4代目を務める。
創業当時から伝わる菓子の一つに、東京で製法を学んだという「江戸砂糖漬け」がある。冷凍技術がなかった時代、野菜を別の季節にも食べられるようにするため作られていたという。野菜によって漬け方を変え、何度も漬けながら少しずつ砂糖を加えて仕上げる。現在は年末から正月にかけて「おなすの砂糖漬け」を縁起物として販売。茂さんは「110年を機に、小野子ニンジン、清内路カボチャ、シイタケなど、その時々の素材を使い、月に1種類程度作っていきたい」と話す。
茂さんは高校卒業後、東京の日本菓子専門学校で学び、都内の和菓子店に約1年間勤務。その後、「東京ばなな」などを展開するグレープストーンで約6年間、商品展開や販路開拓などに携わった。当時を「新しい売り方を考えたり、販路を広げたりする仕事が楽しかった」と振り返る。30代で家業を継ぐため飯田へ戻り、和菓子作りのブランクもあったことから、父の一さんに改めて教わったという。現在は通常約20種類に季節商品約10種類を加え、約30種類の菓子を店頭に並べる。
茂さんの代からは菓子教室も始め、市内外の小中高校などに出向き、練り切りや赤飯まんじゅう作りを教える。菓子作りと併せて地場産業である和菓子の歴史にも触れ、「飯田の菓子が販路を広げながら、成長を続けてきたことを知ってもらう機会になれば」と話す。
地域の組合や商店会、まちづくり委員会、商工会議所などでも役員や係を務めてきた茂さん。「声をかけてもらったことは断らずやってきた。呼んでもらえるのも何かの縁。この地域で商売をさせてもらっているので、まちを良くするために力を出せれば」と茂さん。
店を継ぐことについては、「自分で創業した店ではなく、先代までが続けてきた店を借りて商売しているという気持ち。人から借りたものを大切にするのと同じように、大切に菓子つくりを続けている」と話す。
110周年を記念し、2022年から販売する「飲むわらび餅(抹茶・コーヒー・ほうじ茶)」(572円)の購入客に、次回使える100円券を11月末まで進呈する。創業日の8月26日には、買い物客先着30人に紅白まんじゅうを進呈する。
営業時間は9時30分~18時30分。