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加藤登紀子さん、満蒙開拓平和記念館訪問 「一九四六」作者の王さんと懇談

懇談する加藤登紀子さんと王希奇(ワン・シーチー)さん

懇談する加藤登紀子さんと王希奇(ワン・シーチー)さん

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 歌手の加藤登紀子さんが3月20日、阿智村の満蒙開拓平和記念館(阿智村駒場)を訪れ、企画展「王希奇(ワン・シーチー)『一九四六』」の開催を前に作者の王さんと懇談した。

「一九四六」の展示の様子

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 同館開館10周年、飯田日中友好協会60周年を記念して開く同展。王さんの作品は縦3メートル×横20メートルの大作で、旧満州の葫蘆島(ころとう)の港で引き揚げ船に向かい列をなす約500人もの日本人の群衆を描いた作品。

 加藤さんは1943(昭和18)年に旧満州のハルビンで生まれ、「一九四六」に描かれている葫蘆島(ころとう)から引き揚げてきた中の一人(当時2歳)。今年1月に初めて実物の作品に出合い、作者の王さんが来館することを聞き、同館に駆け付けた。

 懇談で、王さんは「105万人の日本人引き揚げという歴史的事実をネットや写真など、さまざまな情報を集め、ある写真をきっかけに芸術という手段で歴史を表現したいという思いで描き始めた」と動機を話す。「単なる歴史の再現ではなく、写真から人物の心をうかがいながら創作していった。50歳の時に始めて5年かけて完成させた」と同作品に込める思いを語った。「絵画を見に来る人には、描いた人物それぞれにストーリーがあるので、描かれた人物と対話をしながら見てほしい。絵画という手段で映画を作ろうとも思った」と、この絵画の見方も提案する。

 加藤さんは「貴重な葫蘆島の引き揚げを作品にしていただいたことに心から感謝したい」と述べ、「葫蘆島からの引き上げの思い出は、さまざまな人から聞いてきた。この絵から得たものを歌にしたいと思って自分と向き合ったときに、ウクライナで戦争が始まり、いろいろな思いがつながった瞬間だった」と複雑な思いを語った。加藤さんの母親からは「引き揚げの旅は素晴らしい旅だった。今を精いっぱい生きたことをみなが共有し船に乗っていった」と聞き、みんな生きようとする姿に素晴らしさがあることを感じたという。

 同作品には500人ほどの引き揚げの人物が描かれており、王さんは「500人それぞれのストーリーがあることを絵を見て感じてほしい」と呼びかける。

 開館時間は9時30分~16時30分(入館は16時まで)。入館料は一般=600円、小中高校生=300円。今月26日まで。

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