松川町と旅人向けマッチングプラットフォームを運営する「SAGOJO(サゴジョー)」(東京都豊島区)が6月30日、町制施行70周年を記念したNFT(非代替性トークン)の販売を始めた。地域産品の配送や交流イベントに加え、「一日町長」やツリーハウス作りなどの体験型特典を組み合わせ、町と継続的に関わる「関係人口」の創出を目指す。
NFTのコミュニティー名は「南信州まつかわ『おもしろがりのくに』」。果物狩りが盛んな町の特徴を生かし、「面白狩り」をコンセプトに据えた。NFTを「住民権」と位置付け、「おとな住民」「おやこ住民」「おやこ住民プレミアム」「たびびと」の4種類を用意する。価格は年間1万円~5万円。有効期間は1年間で、以降は1年ごとに自動更新。NFT自体は期間終了後も保有できる。
購入者全員に、町の果物など地域産品を年1回届けるほか、限定コミュニティーや交流イベントへの参加権を付与する。イベントでは参加者同士の交流に加え、地域住民との触れ合いや、今後実施する企画づくりにも関わることができるという。
住民権ごとに異なる体験型特典も設けた。「おとな住民」はリンゴの木のオーナーとなり、手入れから収穫までを体験できる「おもしろ狩りの木」で遊ぶ企画を用意。「おやこ住民」は森の中でツリーハウスを作る全4回のプログラムに参加でき、キャンプやバーベキューなども楽しめる。「おやこ住民プレミアム」は子どもが「一日町長」となり、町のパトロールやPR活動などを体験する。NFTのイラストはイラストレーター・ならのさんが描き下ろしたオリジナル作品を採用した。
松川町ではこれまでも関係人口創出に取り組んできたが、参加人数の制限や事業の継続性が課題だったという。今回、NFTを活用することで町とのつながりをデジタル上で可視化し、継続的な関係づくりにつなげる。将来的にはリニア中央新幹線や三遠南信自動車道の整備を見据えた来訪促進や、ふるさと納税、ふるさと住民登録制度との連携も視野に入れる。
SAGOJOは旅人と地域をつなぐマッチングプラットフォームを運営し、登録者は約3万人。全国250以上の自治体・地域団体と連携している。松川町では2026年9月ごろを目標に地域おこし協力隊を採用し、地域住民との調整や特典運営のサポートを担う予定。
同社の新拓也社長は「NFTを活用することで、関係人口を担い手と消費者の両面から生かす仕組みを構築したい。人口減少や高齢化に直面する自治体の先進事例に育てていければ」と話す。同町まちづくり政策課の松尾天さんは「70周年を機に次世代へ向けた新たな挑戦を始めた。町のサポーターとして特産品や自然を体感し、『幸せを実感』して、松川町に定着してもらいたい」と期待を寄せる。