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飯田の児童養護施設「風越寮」 新寮舎へ引っ越し、新生活始まる

新寮舎を紹介する矢澤施設長

新寮舎を紹介する矢澤施設長

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 児童養護施設「風越寮(ふうえつりょう)」が旧寮舎(飯田市丸山町)から移転し、新寮舎(砂払町)での生活を8月28日からスタートした。

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 新寮舎は、木造2階建ての管理棟1棟と、木造平屋の居住棟2棟から成り、敷地面積は2905平方メートル。現在は、小学1年生~19歳までの子ども22人が暮らし、保育士11人と指導員4人のほか、心理療法士、栄養士、調理員など25人の職員が務める。

 居住棟はそれぞれ「あかいし」と「かざこし」と名付け、1棟を左右対称な2つのユニットで構成する。1つのユニットに、リビングやキッチン、風呂、トイレのほか他、1人部屋4室と2人部屋1室があり、年齢の違う5~6人の子どもが一緒に暮らす。

 旧寮舎は広い談話室や大浴場で全ての子どもが一緒に暮らしていたが、「少人数で、家庭的に過ごせる」ようにと、ユニット化したという。以前から「調理員が作った食事がおいしい」と子どもたちからの声があり、食事は調理員が管理棟の調理場で毎食準備し、子どもたちが各ユニットへ運び、それぞれで取るという。

 同僚施設長の矢澤淳司さんは「新しい場所で子どもたちは大喜びで、すごくうれしそう」と、新寮舎での生活の様子を紹介する。子どもたちは学校から直接ユニットへ帰宅するといい、18時以降は原則として外出しないルールだが、別ユニットの友だちと交流したいなどの声も上がり、高校生は21時まで移動できるなど「臨時ルールを設けて対応している。職員もユニットでほぼ固定せざるをえず、子どもたちから要望が届いている。その度に相談し、みんなが良いように対応していきたい」と、新生活の1週間を振り返る。

 1946(昭和21)年に同市大通(おおどおり)で創設された同施設は1952(昭和27)年、丸山町へ新築移転した。1973(昭和48)年に同所で鉄筋造りの旧寮舎を竣工した。50年がたち老朽化が進む中で、2010(平成22)年に建て替え計画をスタートした。

 矢澤さんは「資材の高騰などがあり、当初の計画より建設規模を小さくするなどした。収納スペースが取れず、備品の用意も難しくなったため、クラウドファンディングを立ち上げた。多くの方の協力があり、新しい場所での生活を迎えることができた」と感謝の気持ちを口にする。

 「全ての子どもにとって『ぬくもりと安らぎ』ある環境であるように最善の努力をする」「一人一人の自立の考えを尊重し、最高の自己表現ができるよう支援する」「退所しても、どこまでも、どんな時でも応援する」を掲げる同施設。矢澤さんは「子どもたちと親御さんを支援する。親じゃない大人でも『支えてくれる人がいる』ことを分かってもらえるように支え続ける」と話す。

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