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3オクターブのハンドベルを製品化 飯田の花井メディテック、市長へ報告

花井メディテック製、3オクターブのイングリッシュハンドベルの記者会見

花井メディテック製、3オクターブのイングリッシュハンドベルの記者会見

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 旋盤加工での精密部品加工を手がける花井メディテック(飯田市北方)が3オクターブの「イングリッシュハンドベル」を製品化し、8月5日、佐藤健飯田市長に報告した。

佐藤市長も参加して「見上げてごらん夜の星を」を演奏する

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 同社は旋盤加工の技術を生かし、2009(平成21)年、イングリッシュハンドベルの開発を始めた。共同受注開発グループの「ネクスーイイダ」の加盟企業など地域内の企業ほか、県外企業とも連携して開発を進め、2015(平成27)年に1オクターブの製品が、2019(平成30)年には2オクターブの製品が完成。今年1月、開発着手から15年をかけ、演奏者の要求に応えた3オクターブの製品の完成に至った。8月に限定3セットを発売し、海外で2セット、国内では飯田のNPO法人が1セットの購入が既に決まっている。価格は360万円。

 当日、花井孝文社長は、会社の現状から開発の経緯などを佐藤市長に報告し、実際に3オクターブのハンドベルで「見上げてごらん夜の星を」を、市長も参加し演奏した。演奏後、佐藤市長は「伸びがいい」と、初めて演奏するハンドベルの音の感想を話す。市長からハンドベルを作るきっかけを聞かれた花井社長は「新人が旋盤の使い方を覚えるために小さな鈴を作っていて、展示会などで飾っておくと評判が良く、音階をつけたらどうかという話になったのがきっかけだった」と話す。

 同社のハンドベルの特徴は「音の伸びが良く、柔らかい」と開発を担当する長原裕さん。3オクターブのイングリッシュハンドベルの開発には、素材加工や音質の面で苦慮してきたという。最も小さいベルの大きさは高さ193ミリ、直径66ミリ。一番大きいベルは高さ262ミリ、直径160ミリ。「小さいベルは少し削るだけで音が全く違うので音階を出すのが難しく、大きいベルは薄くて大きいので割れやすく、加工が難しかった」と振り返る。

 これまでクリスマスシーズンに地元のラジオ局の時報音をハンドベルで行うなどの企画を、飯田コアカレッジ、飯田短期大学、飯田高校の生徒たちの協力で実施。追手町小学校などでも、教育にも活用し、好感触を得た。今後は、飯田女子高校、旭ヶ丘中学校でも活用する予定。花井社長は「ハンドベルが社員の技術向上だけでなく、社会貢献の役割としても手応えを感じている」と話す。

 開発したハンドベルは、8月12日~16日に浜松で行われるハンドベル世界大会で、主催団体の日本ハンドベル連盟の専属チームが特別演奏を行う予定。

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