南信州を中心とするキッチンカー事業者でつくる「長野キッチンカーネットワーク」が8月10日〜12日、熊本地震の被災地にキッチンカーを派遣し、避難者らに炊き出しを行った。
同ネットワークは、キッチンカー「夢mama号」(飯田市鼎下山)を運営する北村裕美さんが代表を務める。以前からキッチンカー仲間とLINEグループで営業やイベントなどの情報を共有してきたが、防災面での活用も見据えて組織化。現在は約30事業者が加入し、このうち11社が防災部会に参加する。
併せて、災害時のキッチンカー派遣に取り組む「日本キッチンカー経営審議会」の長野支部としての機能も担う。同審議会は能登半島地震でキッチンカーを派遣し、21万食を無償提供。その後、国や自治体からの要請に基づき、全国の事業者を被災地へ派遣する仕組みを整えてきた。今回の熊本への派遣は、同審議会から全国の支部などに寄せられた要請を受けたもの。
北村さんは今月11日に長野県を出発し、約17時間かけて熊本県へ移動。翌12日、宇城市不知火防災拠点センター(熊本県宇城市)で、ハンバーグ丼とタピオカドリンク各100食を提供した。当時、同センターには36世帯約50人が寝泊まりするほか、断水が続く地域から食料や物資を受け取ったり、入浴したりする住民も訪れていたという。
現地から「軽食よりご飯などの食事の需要が高まっている」との情報も入り、別のキッチンカー「ペロンチョ」は当初予定していたメニューを変更。野沢菜キムチを使った混ぜご飯やワカメご飯、高野豆腐などを用意した。北村さんも食材を長野県から持参し、冷凍・冷蔵設備は発電機を使って管理。地元の農家から提供を受けたリンゴジュースなども届けた。
北村さんは「物を届けるというより、長野から応援しているという思いを届けに行ったように感じた。『長野から来てくれたの』と喜んでもらい、逆にこちらが元気をもらった」と振り返る。「普段から営業許可を受け、日常的に提供しているからこそ、災害時にも安心、安全な食事を作ることができる。今回の経験を今後の防災にも生かしたい」と話す。
同ネットワークは24日に「ニュールナ」がクレープとチュロスを、26日・27日に「からあげビリー」がラーメンを提供する予定。30日には飯田商工会議所(飯田市常盤町)で行われる「防災フェス」で4店が炊き出し訓練を行い、250食を無償提供する。