阿智村出身の写真家・童画家、熊谷元一さんが約70年前に撮影した作品「ラジオ体操」と、今年8月に同じ場所で再現撮影した写真を並べた展示が8月12日、熊谷元一写真童画館(阿智村智里)ギャラリーで始まった。
再現撮影は、住民らでつくる「熊谷元一写真復刻実行委員会」が企画。8月1日、熊谷さんが当時撮影した駒場上町の古民家「つぼや」前の道路に、阿智村や飯田市から約100人が集まった。現在は夏休みにラジオ体操を行う機会が少なく、体操を覚えていない児童・生徒もいることから、撮影前に練習。元体育教師で同村伍和の原勝人さんが手本となり、腕の伸ばし方や体を伸ばす動きなどを指導した後、参加者全員でラジオ体操を行った。
撮影は、元阿智村地域おこし協力隊で、現在「ND_Photography」として活動するフォトグラファーが担当。熊谷さんの作品と同じアングルのほか、反対側や上空からも撮影。体操後には、熊谷さんの作品に登場するコッペパンと、熊谷さんの写真作品を印刷したクリアファイルも配り、参加者が食事をしながら交流した。「地域の人がこうして集まる機会がなかなかないので良かった」という声も聞かれた。
同館では現在、熊谷さんの教師時代の作品「一年生」から31点を常設展示するほか、企画展「いま蘇る昭和の子どもたち展」で、昭和20年代を中心に阿智村の日常を捉えた54点を紹介している。
同館職員の斉藤里奈さんは「熊谷さんの写真には、『自転車の三角乗り』や『手作りゲタスキー』、『兄弟の子守り』など、当時の子どもたちの遊びや家の手伝いといった日常の姿が残されている。今では見られなくなった光景も多く、子どもたちのたくましさを感じる」と作品を紹介する。「今回の再現撮影は、熊谷さんの写真作品のユネスコ『世界の記憶』への登録を目指す活動の一環。昭和と令和の写真を見比べ、今との違いを感じるとともに、熊谷さんの作品や地域の記憶を知ってもらう機会になれば」とも。
開館時間は9時~16時。火曜、祝日の翌日休館。展示室鑑賞は、高校生以上350円、中学生以下無料。ギャラリー鑑賞は無料。