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南信州産キャビアを名物に 高森町のチョウザメ養殖企業にファンドが支援

報告会でチョウザメと一緒に記念撮影

報告会でチョウザメと一緒に記念撮影

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 信州スタートアップ・承継支援投資事業有限責任組合(以下、信州SSファンド)が8月20日、チョウザメの養殖を手がけるCavLuck(キャブラック)への投資報告会を高森町役場で開いた。

生後1年のコチョウザメを見せる吉澤社長

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 信州SSファンドは2022年4月にスタートし、長野県内の創業や事業継承による地域経済活性化に資する企業を対象に、今回の投資を含め数十社に総額7億700万円を投資してきた。株式上場を目指さない企業から事業継承の企業までを支援し、融資ではなく投資で支援するのが特徴。

 今回、投資を受けたキャブラックは今年5月に創業。創業以前は同社社長の吉澤充さんら高森町商工会青年部が「地域に新しい産業を興したい」という熱意で話し合いを続け、チョウザメの卵のキャビアを南信州の名物にしようと2021年に養殖を飯田市座光寺で始めたのがきっかけ。南信州の豊かな水資源がチョウザメの養殖に適しており、水温・水質・気候、地元自治体や金融機関の支援を生かしながら事業に取り組んできた。ゆくゆくは高森町でキャビアや魚肉の加工販売を見据える。

 キャブラックの社名に重ね、ブラックのスーツに身を包み、神妙な面持ちで話を始めた吉澤さんは「最初は見よう見まねでチョウザメの飼育に取り組んできたが思うようにいかず苦しんできた」と振り返る。魚類繁殖研究の第一人者で北海道大学の足立伸次名誉教授から指導を受け、今年、繁殖にも成功し事業へ向け一気に前進した。

 吉澤さんは「天竜川の豊富な水資源を活用することを考えた。海なし県でのチョウザメ養殖はインパクトがある。地域創生や観光客の増加など貢献できるように努力したい」と話す。信州SSファンドについては、「手厚い支援を頂き感謝している。期待に応えたい」とも。

 現在、高森町と座光寺のいけすでシベリアチョウザメやコチョウザメなど約7600匹を飼育。天竜川の地下からくみ上げたの井戸水は年間通じて17度前後に保ち、水質も良い。足立名誉教授は「通常7年でかかるところ約5年で生育でき、チョウザメの養殖に向いている」と話す。高森町で本格的に事業展開するため、今年4月、「天竜川MIZUBEステーション」隣接地に3000平方メートルのいけす用地を用意し、6月末に造成、井戸工事が完了した。全25基のいけすを設置予定で、隣接する高森町第一工業団地内に加工所と研究施設の開設も予定する。2025年には魚肉の加工を、2027年にはキャビアの加工販売を見据える。

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