飯田で創業80年の老舗酒蔵「喜久水酒造」(飯田市鼎切石)が1月27日、新ブランド酒(第一弾)「吟醸生原酒 厳寒しぼり」を発売した。
同社は昨年、1944(昭和19)年の創業から80周年を迎え、コーポレートシンボルなどを一新し、「喜びを醸す」というクレド(行動指針)を定めた。信州の酒米のルーツで、同社が復活の機運を作った「たかね錦」などの県産米を使ったり、「喜」の旧字体「七が3つの喜ぶ」を復活させ、80周年記念酒を販売したりするなど新しい試みを進めてきた。
今回発売した酒は、長野県産の「たかね錦」を100%使う。同社営業部長の下澤淳志さんは「華やかな吟醸香とパイナップル系の味わいで、フルーティーですっきりとした酒に仕上がった」と話す。ラベルの文字は飯田で活動するイラスト書道家の和全さんが直筆で描いた。背景の川の流れを表す37本の波線は、創業時に37の酒蔵が一つになった同社の成り立ちを表現した。和全さんは「水が勢いよく湧き出るようなイメージで書いた。とても爽やかで、すっきりしたイメージ。父と祖父が好きで、いつも家にあった酒。大事な新ラベルを書かせていただき大変光栄」と話す。
新ブランドは限定流通商品で、商品の管理、輸送や温度管理を徹底。取り組みの趣旨に賛同する販売店が取扱店の登録することで、商品を蔵からの直送で届ける仕組み。レギュラー商品と季節限定商品合わせて全11アイテムを用意し、順次発売する。第2弾としては2月10日、「純米大吟醸生原酒 厳寒しぼり」を発売する。
後藤髙一社長は「限定流通など、特に品質にこだわった。どこまで管理を徹底できるかにかかっている。地元の期待も背負っているので緊張感をもって臨みたい」と気を引き締める。「特別な日、ハレの日においしく味わってもらいたい酒。地元に喜久水があって良かったと思ってもらえれば」と話す。
価格は720ミリリットル(4合瓶)で2,123円。1000本限定。