飯田市在住の日本画家、宮井九如啓江(みやいきゅうじょひろえ)さんが「栗山会 飯田病院」(飯田市大通)の駐車場の壁に描いた壁画が、6月に完成した。
里山や野の草花、菩薩(ぼさつ)などを画題に日本画を描く宮井さんが、縦2メートル、横14メートルの壁に人物や動物、植物をペンキで描いた。10年以上前から同院と仕事上の縁があり、同院レストランへ少女や草花を画題に描いた作品展示を行っていた。その作品を見た同院職員から壁画制作の提案があったという。
「無機質な壁に明るく楽しい絵を描いてほしい」との依頼を受けた宮井さんは、自身が高校生の頃から描いていたという女の子「一二三(ひふみ)ちゃん」と猫の「にゃん太くん」を中心に、現実にはない植物や十二支が並ぶ空間を「来院される方に、少しでも穏やかな気持ちになってほしい」との願いで幻想的に描いた。
制作へ今年に入ってから取りかかり、交通量が多い平日を避け、主に週末に作業を行ったという。「集中力と体力が必要な作業で、1日に2時間が限界だった」と宮井さんは振り返る。「描き進め全体のバランスを見る時は、画面からだいぶ離れて確認した」と大きな作品制作ならではの感想を話す。
白虎(びゃっこ)と竜に富士山を画面上で組み合わせ、日本画の要素を取り入れるなど、宮井さんの世界観を作品で表現する。「夢中で描いた。通りかかるときに、ぜひご覧いただければ」と作品を紹介する。
壁画は同院建物の西側にある駐車場の壁に描かれている。