阿智村伍和在住の日本画家・吉川優さんの個展が、県飯田創造館（飯田市小伝馬町）で開催されている。

新作60点が並ぶ

　　テーマは「日々是好日」。昨年秋以降に制作した作品が中心で、南アルプスや海外のマッターホルンなどの山々の景色、花や植物、猫やカエルなどの動物、人物を題材とした多彩な作品で、びょうぶや絵画など、大小さまざまな新作60点を会場に並べる。

　吉川さんは昨年、北海道から沖縄まで日本列島を南下しながら各地に2週間～1カ月間滞在し、その土地を画題に制作した。沖縄滞在中に溶連菌に感染し、一時危篤状態になるも治療を受けて一命を取り留めた。沖縄での入院生活を振り返り、「世界中で大変なことが多いが、ここには人情があると強く感じた」と話す。

　病気を経て、リハビリを続けた後も長らく「絵筆を握る気持ちになれなかった」と振り返る。過去の作品はどれも「絶筆」の覚悟で描いていたが、今回の経験を通じて、その覚悟が十分ではなかったことに気付いたという。昨年10月、「絵を描きたい」と自然に思い立ち、それ以降は毎日、湧き出るような創作意欲で絵を描き続けている。作品には200年先も色あせない顔料を使い、未来へ思いを届けるように描いているという。

　吉川さんは20～40代に、インド、パキスタン、イラク、ヨルダン、イエメンなど世界65カ国を一人で旅したという。まず市場へ立ち寄り、歌を習い、現地の生活に触れてきた。「感動がなければ絵を描くことはできない」と話す吉川さんは今年も8月から、バルト三国への旅を予定している。「絵の感じ方は見る人の自由。ご覧いただけたら」と来場を呼びかける。

　開館時間は10時～16時。水曜休館。観覧無料。2月4日まで。