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世界を巡り描く日本画家・吉川優さん、「喜、哀、生」テーマに飯田で個展

吉川優さん 作品「哀』の前で

吉川優さん 作品「哀』の前で

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 阿智村出身の日本画家・吉川優さんの個展が6月16日、長野県飯田創造館(飯田市小伝馬町、TEL 0265-52-0333)で始まった。

全国各地の桜からイメージを受けて

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 テーマは「喜、哀、生」。吉川さんが絵画制作のために巡ったアジアやヨーロッパの国々で見た風景や庭先の植物などをモチーフに、びょうぶ3点など半年で描いた新作60点ほどを展示する。

 「日本の花見をイメージして『喜』をテーマに制作している最中、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた」と話す吉川さん。「同じ時間に地球上の違う場所でどんなことが起きているか気にかけていなければならない。ロシアの攻撃を受けた場所に訪れたことがあり、被害を受けた画像を一瞬見ただけで心に刻まれた。そのイメージで『哀』を描いた」と続ける。

 吉川さんは20~40歳代にかけて世界65カ国ほどを1人で訪れた。インド、パキスタン、イラク、ヨルダン、イエメンなど、出かけると約3カ月で複数の国を巡り旅先で風景を描いた。特に大陸で見た山を描いた作品が多く、日本画を代表する色「群青」と「緑青」を多く使う。顔料の原産は中国やアフリカが中心だが、昨今の社会情勢の影響で手に入りにくくなっている。「絵具、筆、伝統工芸など、平安時代から培われた技術を守れるか危機感を持ち続けている。技術を守っていくために」と、江戸時代などの絵画の模写絵も制作し今回の個展に並べる。

 「日々大変なことが多いが、皆さんには作品をゆっくりご覧いただけたら」と吉川さん。「今までにびょうぶ作品73点を制作した。100点描けたら回顧展を開く。」と意気込みを見せる。

 開館時間は9時~16時。入館無料。今月28日まで。

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