飯田市時又の伝統行事「時又初午はだか祭り」が3月12日、4年ぶりに通常の形で開催された。
同祭りは800年ほど前の鎌倉時代、領主の小笠原長清が戦勝の感謝と兵士の慰霊のため、木馬を時又の長石寺に奉納したのが始まりといわれる。この日が初午であったことや御神馬を奉納したことから、初午の日に御神馬を天竜川で清めたのが祭りの由縁。
13時に長石寺(飯田市時又)を出発した御神馬やだるまなど7基のみこしと、時又保育園の園児らが担ぐ子どもみこしが「御水(おんすい)」というかけ声とともに1時間ほど地区を練り歩いた。
道中は天竜橋付近でさまざまな儀式などを経て、14時過ぎに天竜川の時又港へ。飯田市の気温は20度。いつもより温かい陽気の中、さらしを巻いた約80人の担ぎ手が「御水」のかけ声とともに天竜川へ入水し無病息災を祈った。
担ぎ手は地元の人が中心だが、飛び入りの参加者もおり、東京から飯田に店舗改装のボランティアに来た大学生らも参加した。別府直樹さん、土屋岳詩さん、田宮小鈴さんの3人は「東京ではできない体験ができて楽しかった。思ったより入水は冷たくなかった」と話していた。
保存会の安東正行会長は「4年ぶりに通常の祭りができて感謝。今まで経験してきた中で一番温かい日の祭りだったが、担ぎ手はみんないい表情だった」と胸をなで下した。