飯田東中学校(飯田市高羽町)が11月17日、飯田市中心市街地のリンゴ並木で「収穫を祝う会」を開き、今年最後の収穫作業を行った。
「りんご並木」は1947(昭和22)年に起きた「飯田大火」の後、当時の同中学校の生徒が、中央分離帯へ「りんご並木」を造ることを提案し、1953(昭和28)年11月、全校生徒で47本のリンゴを植樹したのが始まり。現在に至るまで、同校ではリンゴ栽培の工程を年間スケジュールで組み、クラスごとに担当の木を管理する形をとり、地域住民と協力しながら育てている。
作業前に開いた祝う会では、日頃から世話になった人々への感謝の思いや、1年間並木に関わってきた自分たちの思いを大事にして、並木50周年の際に作られた「並木フォーエバー」を全校生徒約180人で合唱した。収穫作業では、脚立に上って実を取る生徒に、周りの生徒が指示したり、支えたりしながら連携して収穫。新聞紙の上で収穫したリンゴを大きさ別に分けてコンテナに入れるなど、並木サポーターや同校りんご並木後援会などの住民や観光客など約30人も参加し、協力して収穫作業に取り組んだ。
「りんご並木」の始まりから72年目を迎えた今年は、記録的な暑さや、初代木と呼ばれる「紅玉(こうぎょく)」が病気にかかったり、収穫前のリンゴの枝が折れたりするなどトラブルに見舞われた。並木委員長の麦島沙和さんは「例年と違うことがあり、あまりいい年とはいかなかったが、無事収穫作業ができて良かった」と話す。3年間の思い出は「暑い夏に汗をいっぱいかきながら作業したのがいい思い出。貴重な経験ができた」と振り返る。
上田市からゴルフ仲間と訪れ、並木作業に加わった4人組の男女は「『一緒に収穫しませんか』と言われ、手伝った。リンゴも頂き、いい思い出になった」と話していた。
当日は、シナノゴールド、陽光、ふじ、シナノスイートなどの木から約5000個のリンゴを無事収穫。日頃から世話になっている地域住民などへ贈ったり、余ったリンゴでジャムやジュースを作ったりする予定だという。