
飯田まちづくり電力(飯田市本町)が3月13日、ニデックモビリティ飯田工場(桐林)にオフサイトPPAによる太陽光発電での電力供給を開始したことを発表した。発電事業者は「おひさま進歩エネルギー」(鼎下茶屋)。
今回のPPA契約は、昨年9月5日に契約(期間は20年間)し、今年1月に電力の供給を開始。おひさま進歩エネルギーが県内21カ所に新設した発電所で発電し、ニデックモビリティ飯田事業所第1、2工場へ年間約340万キロワットアワーの電力を供給するもの。同工場の約30%の電力を賄い、Co2削減量は年間約1400トンを予定する。
オフサイトPPA契約は、発電事業者が設置した発電所で発電した電気を需要家に供給する仕組み。需要家のニデックモビリティはCo2削減、初期投資ゼロ、安定的な電力供給のメリットがある。電力事業者、発電事業者、需要家の3社が全て飯田市内の事業者で、電力の地産地消が実現した。
ニデックモビリティ(愛知県小牧市)は1983(昭和58)年、立石電機(現在のオムロン)の車載電装事業部として発足。カーエレクトロニクス事業を展開してきた。2019年にモーター製品世界シェア1位のニデックグループに参画。同社飯田事業所は1964(昭和39)年に立石電機の生産子会社の第1号「飯田電工」として発足し、本年度で60周年を迎えた。グループとしてカーボンニュートラルにも力を入れる。
ニデックモビリティ飯田事業所の大平憲治工場長は「グループとして2040年までに工場の使用電力をカーボンニュートラルとする目標を掲げている。自社の敷地内で発電するオンサイトPPAより自由度があり、安定して再生可能エネルギーが調達できるオフサイトPPAを導入できたことは環境的な側面で重要。成功事例を他のグループ会社にも展開したい」と話す。
飯田まちづくり電力の原勉社長は「地域の事業者で脱炭素化を実現することが大事。環境文化都市飯田の理念を体現した事業ができた」。おひさま進歩エネルギーの菅沼利和社長は「地域の事業者に理解いただき、今回の事業が実現できた。飯田まちづくり電力と協力してエネルギーの地産地消を進めているが、まだまだ足りない。再生エネルギーをもっと地域で使ってほしい」と、それぞれ脱炭素社会の先を見据える。