人形作家の川本喜八郎さんの生誕100年を記念したトークショーが、川本さんの誕生日でもある1月11日、川本喜八郎人形美術館(飯田市本町1)で開かれた。
トークショーでは、川本さんが人形美術監督を務めた短編人形アニメーション「いばら姫またはねむり姫」を上映。同作でコマ撮りのアニメーターを務めた峯岸裕和さんが、チェコにあるトルンカスタジオに急きょ呼ばれて制作に加わった話や、川本さんが現地スタッフに梅干し入りのおにぎりを振る舞ったエピソードなどを紹介すると、会場は笑いに包まれた。
テレビ人形劇「三国志」で曹操の人形を操演した船塚洋子さんは「三国志の話を知らないまま制作に参加した」と明かしつつ、舞台とテレビでの人形劇の違いや、「制作スタッフに厳しい川本さんだが、操演者には笑顔で接してくれた」など、制作当時の思い出を語り、人形操演も披露。来場者が体験する時間も設けた。
東京から家族で訪れ、操演を体験した有田愛子さんは「人形が生き生きしていて、鮮やかさに引き込まれた。触れてみて、その繊細さに感動した。幸せな時間だった」と振り返る。
同市元職員で、川本さんの人形美術を学ぶ「桃園の会」の遠山広基さんは、川本さんが同市と深い関わりを持つようになった経緯を紹介。「最初は飯田にあまり良い印象を持っていなかったが、黒田人形浄瑠璃や地域の人と文化に触れ合ううちに、その魅力に引かれていった」と川本さんの心境の変化を説明した。
いいだ人形劇センターの木田敬貴さんは「生誕100年を機に、テレビ人形劇だけでなく、人形アニメーションにも注目してもらえるよう発信したい」と話す。