ねやねや天龍峡デジタル住民部とクリプトヴィレッジ(新潟県長岡市)が11月22日、NFT(非代替性トークン)によるデジタル住民票「天龍峡NFT」の販売を始めた。
同社はデジタル村民によって自律的に運営される共同体「Local DAO」の第1弾として新潟県長岡市山古志で「Nishikigoi(錦鯉)NFT」を発行し、山古志の観光資源や文化を発信、保持するなど地域振興につなげる活動を行う。NFTは非代替性トークン、non-fungible tokenの略で、ブロックチェーン上に記録される代替不可能な唯一無二のデータ単位のことを言い、ビットコインなどの暗号通過とは異なる。
同社は、山古志に続く新たなLocal DAO地域の候補地として「長野県天龍峡」と「宮崎県椎葉村」を選定。天龍峡は昭和初期に国の名勝に選ばれ、バブル期には70万人の観光客でにぎわう観光地になったが、現在は観光客の減少に悩まされている地域。インバウンド需要が過熱する中、持続可能な観光地のあり方を模索するため、Local DAOプロジェクトに名乗りを挙げた。コミュニティーの投票で両地域が正式に選ばれ、今回の天龍峡NFT発行につながった。
ねやねや天龍峡デジタル住民部で飯田市出身の大平雄司郎さんはデジタル住民を「地域観光に訪れるだけでなく、一緒に悩み考え実践してくれる新しい仲間」と説明する。今回発行する「天龍峡NFT」を購入しデジタル住民になると、デジタル上で天龍峡を活性化するための意見交換や意思決定に参加できたり、祭りやイベントなどリアルな地域活動に足を運んで参加できたりする。NFTの制作はデジタルアーティストの「raf(ラフ)」さんが手がけた。竜をモチーフにしたデジタルアートを展開し、会員証となるカードなどに使う予定。
大平さんは「人はどこにいても参加できる『ふるさと』を求めていて、『ただいま』『おかえり』が言える自分の故郷があるというアイデンティティーを持つことになる」とNFTの意義を話す。「天龍峡と同事例の地域は全国に多く存在する。NFTの販売は第一歩に過ぎない。プロジェクトが成功することで他の地域にも広がる可能性があるので、ぜひ応援してほしい」と参加を呼びかける。今後は地元天龍峡の住民にもNFTを理解してもらうため説明会を開く予定。
18時30分~テンリュウ堂(飯田市川路)とオンラインで「OKATTE天龍峡NFT販売会」を行う。価格は1万円~。1万円はカードの発行のみ。天龍峡の特産品や宿泊付きのセットも販売する。NFTに慣れていない人のためにクレジットカードでの購入も可。