演劇「さくらと舞台桜」の公演が9月21日~23日の3日間、「麻績の里(おみのさと)舞台校舎」(飯田市座光寺)で行われる。
1874(明治7)年建築の「舞台校舎」は、旧座光寺麻績小学校の校舎として1988(昭和59)年まで使われ、翌年には長野県宝の指定を受けた。木造2階建てで、1階を歌舞伎舞台とし、県内で現存する小学校校舎として最も古いとされる。
昨年末から「麻績の里振興委員会」が同校舎の竣工150年記念事業を募集したところ、地域で演劇活動などを行う団体「南信州アートラボ」が手を挙げた。「地域に根差した作品作りや劇場以外での上演をしてみたかった」と、代表の野口千英子(ちえこ)さんは振り返る。
野口さんは「舞台校舎で上演するなら、ゆかりの作品を作りたい」と、舞台校舎や麻績神社、元善光寺などの歴史を改めて勉強したという。同市在住で桜を守る活動を続ける「桜守(さくらもり)」の森田和市さんから、同校舎の「麻績の里、舞台桜」についても教わった。一輪の花弁が数枚~10枚ほどの「半八重枝垂れ紅彼岸桜」という希少品種で、春には地域の桜アドバイザーが観光客へ特徴などを紹介する。
この桜を主軸として野口さんが原案を考え、同市出身の小林英樹さんが脚本と演出を手がける。劇中では、高校卒業後にやりたいことが見つからず、祖父の桜守の仕事を手伝う主人公「櫛原さくら」を地域の人々が見守る姿があり、「樹齢350年以上のこの桜の木も、地域を見守り続けている」と、あらすじに触れながら野口さんは劇に込めた思いを話す。
キャストは飯田下伊那の出身者が務め、地元の和太鼓グループ「心鼓毬(しんこきゅう)彩(あや)」や地域の獅子舞、プロダンサーなども出演し、舞台に花を添える。野口さんは「すてきな場所で、みんなで作り上げる世界に立ち会ってほしい。見て下さる方がいて、舞台が完成形になる」と来場を呼びかける。
上演時間は、21日=19時~、22日=10時~・19時~、23日=17:30~(開演30分前に開場)。料金は、大人=昼公演2,500円・夜公演2,700円、中学生以下=昼公演1,300円・夜公演1,500円。チケットは座光寺自治振興センター(TEL 0265-22-1401)で扱う。