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高校ラグビー・飯田対決 両校力を出合うも花園切符は飯田OIDE長姫に

中村光希監督を胴上げして喜ぶ選手たち

中村光希監督を胴上げして喜ぶ選手たち

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 第103回全国高校ラグビーフットボール大会の長野県予選決勝が11月3日、長野Uスタジアム(長野市)で行われ、飯田OIDE長姫高校(飯田市鼎名古熊)が28-24で飯田高校(上郷黒田)に勝利し1974(昭和49)年以来49年ぶり3度目の優勝を飾った。

応援席の保護者と選手と記念撮影

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 前回優勝したのは統合前の飯田長姫で静岡県代表との花園への出場決定戦に敗戦したため、57年ぶり2度目の全国大会(花園ラグビー場)への出場となる。飯田下伊那勢同士の決勝戦は2008(平成20)年の飯田対下伊那農業以来15年ぶり。

 雲一つない青空の広がる長野Uスタジアムには、朝から大勢の両校の保護者やOB、生徒たちが応援に駆け付けた。試合前、飯田OIDE長姫ラグビー部保護者会長の原さんは「飯田対決でやりにくさはあるが、7人制・春の大会と勝って3冠を目指しているので勝つ気でいる。選手たちは意外とリラックスしていた」と話し、飯田高校ラグビー班保護者会長の久保田さんは「ここまで来たら、飯田勢同士遠慮なくぶつかり合ってほしい。選手たちは準決勝の岡谷工業戦の方が緊張していたようだ。気楽に頑張ってほしい」とエールを送った。

 13時、飯田のキックオフで試合が始まると、飯田の当たりの強いタックルに対し、飯田OID長姫は多彩な攻撃パターンで突破口を開こうとする。中村光希(ひろき)監督が「前半はもっと競るかと思っていた」と言うが選手の動きが良く、前半6分、「昨年の悔しさをぶつけられた」と昨年の決勝戦、脳しんとうで途中退場した2年生のスタンドオフ・後藤慶伍(けいご)選手が先制のトライ。同21分にはフッカーの吉田千凌(せんり)選手がトライ。後藤選手が「毎日練習してきた」というゴールキックも決め14点をリードする。飯田は得意のモールで押し込み反撃したが、前半終了間際に後藤選手が再びトライ。21-7で折り返す。「前半でペナルティーが1つだけ。想像以上にいい試合展開」と中村監督。

 後半に入ると早々に後藤選手が巧みに相手のタックルを交わし、この日3つ目のトライを決めリードを広げる。「先輩たちがマークされていて自分が動けた」と後藤選手。飯田OIDE長姫は昨年の教訓を生かし、今年から日替わり主将制となった。決勝戦の主将を務めたのは昨年の決勝戦をけがで出られなかったセンターの野牧聖太選手。「規律を大事に練習から実践してきた。練習してきた通り周りの選手を生かすことができた」と自信を見せた。

 後半、飯田は鈴木唯仁(ゆいと)主将の「モールでいくぞ」というかけ声にチームが団結し、飯田OIDE長姫のゴール前で押し込むも、飯田OIDE長姫も粘りを見せる。「準決勝の合同戦ではシンプルに戦い、手の内を明かさなかった」と野牧主将。「飯田のモール攻撃に対していくつかのパターンを考えしっかり準備してきた」と中村監督が話す通り、モールの圧を少しずつ横へずらしながら耐え抜いた。終了間際に飯田のプロップ木下直哉選手と主将の鈴木選手がトライするもホイッスルが鳴り、試合終了。終わってみれば28-24の4点差。両校が互いの持ち味を発揮してノーサイドとなった。

 試合後のインタビューで中村監督は「ようやくいろいろな方々に恩返しができてホッとしている。今年のチームは6年間かけていろいろな人たちにサポートしてもらっての勝利」と話す。全国大会に向けては「全国でもすぐに負けないチーム作りをしてきているので、長野県の代表として責任をしっかり果たしたい」と前を見据え、意気込む。

 飯田OIDE長姫の選手たちが応援席のスタンドにあいさつに行くと、飯田高校の応援席からも「頑張って来いよ」と温かい声がかけられた。

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