もなか種(だね)の製造・販売を行う「ふくやま」(喬木村伊久間)の新工場が5月、稼働を始めた。
以前の工場(阿島)がリニア中央新幹線のルートに当たることから、今年4月に本社を移転し、5月には工場の稼働を始めた。2130,3平方メートルの鉄筋平屋となり、以前の工場と比べると20%ほど広くなった。もち米を粉にする「製粉機械」も設計から作り上げた。
同社専務の福山尚樹さんは「喬木村の皆さんに世話になり愛着があるので、移転は村内でと決めていた。機械の音や揺れなどが大幅に抑えられている」と話す。機械の台数は以前と変わらないが製粉機は大きくなり、倉庫を広くし、通路を確保した。もなか種を製造する工程を部屋ごとに分けゾーニングすることで、密閉された部屋で食品を作ることが可能になり、より高いレベルで衛生面を管理することもできるという。
1919(大正6)年に福山卯太郎さんが、飯田市鼎に「福山種菓子店」を創業したのが「ふくやま」の始まり。1984(昭和59)年には同村へ工場を移し、1994(平成6)年に株式会社化した。もなかの皮の他に、お茶漬けの素を中に入れるための皮や外食産業向けへの商品も展開し、現在は200種類ほどの「もなか種」を生産する。20年ほど前から愛知・岐阜・静岡の和菓子店へ、その後は関東圏やアメリカへも出荷している。県南信産のもち米を仕入れ、自社で製粉しブレンドすることで、幅広い商品展開が可能という。
福山さんは「同業者の中でも日本一と誇れる製粉機を使い、さまざまなニーズに合わせ商品を開発製造している。従業員の皆がより働きやすいと感じられる環境を考え、整えている。女性が多く活躍する職場で、女性からのアイデアを職場のレイアウトや、ロゴ図案などにも生かしている。これからも、きめ細やかに丁寧に気持ちを込めて商品を作り続けていきたい」と話す。