飯沼諏訪神社(飯田市上郷飯沼)で7年に一度行われる、式年御柱大祭が4月9日、新型コロナ禍の下、規模を縮小して開催された。
伊那谷は古くから「外縣(そとあがた)」と呼ばれる諏訪大社の信仰圏で、現在も飯田下伊那には諏訪神社(建御名方命)を祭神とする神社が130カ所余り分布している。このうち35カ所ほどの神社では、規模の大小こそあるものの御柱祭が受け継がれている。
この地区の御柱祭は、野底山の天然林からモミの木を伐り出し、地区内を曳行して飯沼諏訪神社の300余段ある石段を曳き上げる壮大な神事。この石段曳き上げの光景は、本家諏訪大社の有名な木落し、川越しにも劣らない勇壮豪快さが特徴。
今年はその石段の曳き上げは中止となり、あらかじめ境内に運ばれた長さ16mほどの一の柱(2.4t)と二の柱(1.7t)をクレーンで建立した。二の柱の木遣り大将の宮下泰広さんは「コロナ禍の中、縮小開催となったが、天気にも恵まれ、木遣りとしての役割を全うし、皆さんの健康や幸せを願い、木遣り歌を響かせたい」と意気込んだ。御柱の建立が始まると大勢の観客の前で魂のこもった木遣り歌を神社いっぱいに響かせた。
また、飯沼諏訪神社で毎年奉納獅子舞を行う飯沼諏訪神社音楽奉納獅子舞も規模を縮小し、氏子町内での演舞や、名物にもなっている300段余の石段を屋台ごと曳き上げるなどは中止となり、境内での奉納演舞のみを行った。演舞の最後には屋台から獅子頭と幌が脱皮し境内を縦横無尽に駆け回り、神社拝殿の中へ。コロナ禍の下、無病息災を願い今年も無事、奉納舞を舞い切った。