中央自動車道座光寺スマートインターから車で15分の場所にある飯田市美術博物館(飯田市追手町、TEL 0265-22-8118)で現在、企画展「城下町飯田と飯田藩」が開催されている。
同市の中心市街地は、かつて飯田城の城下町として栄え領主が交代する中で、江戸時代初期の脇坂家の治世で整備はほぼ完了したとみられている。1672年に堀親昌が飯田入りし、明治維新まで200年間にわたり堀家が飯田藩を治めた。同展では、堀親昌が飯田城主となり350年の節目に合わせ、城下町飯田の成り立ちから1947(昭和22)年の飯田大火後の復興までの約400年の町の歩みを紹介する。
「争う」「治める」など7つのキーワードをテーマに時系列で紹介する同展は、時代の前半と後半の2つの展示室に分かれる。飯田藩士たちの名前や役職などを記した「分限帳(ぶんげちょう)」や、計画的な「まちづくり」がうかがえる絵図、祭りに使われた装飾品など史料を90点ほどを並べる。
9月20日に長野県宝に指定されたばかりの「信濃国飯田城絵図(しなのこくいいだじょうえず)」は、県宝指定後の初展示となる。縦3メートル×横2,5メートルの大きさに飯田城内を描き、藩士たちの名と住まいの敷地の広さを記す。城主が交代するときの申し送りに使われたとみられる。同館学芸員の織田顕行さんは「350年以上前の絵図としては良い状態で、付箋が貼られ情報がアップデートされている。使われた様子が分かる絵図で、ここまで細かな情報が記された絵図は県内で他にはない」と話す。
堀家には、徳川家に忠誠を誓い受けた「千鳥」と、豊臣家に忠誠を誓い受けた「浦千鳥」の2つの青磁香炉が伝来する。同展では、ひそかに飯田藩に伝わったとされる「浦千鳥」を展示する。織田さんは「徳川家に忠誠を誓ってから表立って世に出ることがなかったかもしれない『浦千鳥』も、ご覧いただければ」と話す。
同展では堀家にまつわる史料の他に、現在の飯田の街並みでも見られる史跡などの写真も展示する。織田さんは「この展覧会を予習復習とし、実際に街に出て城下町や飯田城の痕跡をたどり飯田をより知ってほしい」と来館を呼びかける。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館(祝日の場合は翌日休館)。観覧料は、一般=400円、高校生=300円、小中学生=200円。