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創業100年・飯田の老舗うなぎ専門店「丸井亭」、土用の丑でにぎわう

100年に合わせ新調した暖簾(のれん)をかけた店舗前で、店の歴史を紹介する店主の小木曽秀英さん

100年に合わせ新調した暖簾(のれん)をかけた店舗前で、店の歴史を紹介する店主の小木曽秀英さん

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 今年で創業100年を迎えた、うなぎ専門店「丸井亭」(飯田市知久町、TEL 0265-22-0349)が7月19日、「土用の丑(うし)」の日に合わせてうなぎ料理提供し店内外でにぎわいを見せた。

創業100年うなぎ専門店「丸井亭」のうな重

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 1925(昭和元)年に創業した同店。当初は食堂として営業を始め、宴会料理なども提供していたが、創業当初からの人気メニューであるうなぎ料理を専門とする店として、1975(昭和50)年に現在の看板を掲げた。当時の来店客などから専門店としての展開を望む声が強くあったことが背景にあるという。

 調理には、皮が薄く身が柔らかい「青ウナギ」を生きたまま仕入れ、関東風に背開きで串打ちし、関西風の直焼きで焼き上げた後、軽く蒸して仕上げるという独自の手法を用いる。備長炭による炭火焼きでは、タレが炭にこぼれ煙となって身を包み込み、「炭の香りをまとわせながら皮は香ばしく、身は柔らかく仕上がる」という。タレは創業当初から継ぎ足しながら使われてお、現在まで使っている。

 4代目の小木曽秀英さんは、26~27年前に店へ入り、先代の調理人に一から技術を学んだ。「先代と同じスピードでさばけるようになるまで10年弱かかった」と振り返り、「スピードはもちろん、見た目も美しく、味も均一に仕上げる」と話す。

 今年の「夏の土用の丑」は2日あり、「一の丑」が3連休と重なったことで注文は分散されたが、昼夜の店内は満席となり、テイクアウトの品を受け取る客の列もできた。

 小木曽さんは、小学生の頃に家族で訪れた浜名湖(浜松市)のうなぎ専門店で初めて食べたうな丼を振り返り、「今まで食べたウナギとは全然違っていた。あの味を忘れられない」と話す。高校生の頃には、現在の妻である3代目の娘と実家である同店で、初めてウナギを食べた思い出について、「緊張して食べたことが良い思い出。その中でも『タレが甘い』という印象が強く残っている」と振り返る。

 「自分の子どももタレだけでご飯を食べるほか、お客さまから『今日は子どもがご飯をたくさん食べてうれしい』と声をかけてもらえる。飯田地域の特徴でもある甘いタレは、代々受け継がれてきたもの。100年という時間が生み出した味を、これからも守っていきたい」と語る。

 「ウナギは高価な料理であることは分かっている。お子さんが初めて食べる、晴れの日や記念の日の場所として利用してもらい、『ウナギって、おいしい』と感じてもらえたらうれしい。先代がつないできてくれたものがあって今がある。毎日緊張感を持って提供している。お客さまの『おいしい』という声に励まされ、間違っていなかったと実感できる。これからもその声を聞きながら、味を守っていきたい」と話す。

 営業時間は、11時~14時、16時30分~21時。木曜定休。7、8、12月は不定休。

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