
東野公民館(飯田市宮ノ前)で6月29日、文化部講座「ラーメン屋さんと地域のつながり」が開講された。主催は同文化部。
講師は、飯田市東野地区にあるラーメンの老舗「新京亭」(飯田市中央通り)の伊藤良昭さんが務めた。「ラーメンとは?」で始まり、しょうゆラーメンと中華そばの違いなど、日本のラーメンの歴史や文化について説明。飯田のラーメンの始まりは。戦後に飯田駅前や銀座通りに屋台が登場したのがきっかけだという。当時は「支那そば」と呼ばれていた時代で、豚骨や鶏ガラベースのあっさりしょうゆ味が特徴だったと解説。伊藤さんが勤める「新京亭」ではしょうゆ味の中華そばとうたっているが、スープは豚骨から取っていると説明すると参加者からはさまざまな質問が飛び交った。
新京亭の始まりは、1953(昭和28)年ごろから東中央通りで製粉業を営んでいた中国人の郭さんが、製粉業を廃業し、1960(昭和35)年に飯田の街中で「上海楼」(現在は銀座で営業中)を数人のメンバーで開店。そのメンバーに伊藤さんの祖父が含まれており、その祖父が独立して1967(昭和42)年に新京亭を開店したのが始まりだという。「この頃から飯田下伊那地域に中華そばを出す店が増えていき、今日の飯田の中華そば文化が広がったと考えられるのでは」と伊藤さんは話す。
講義終了後、公民館の調理室で作った新京亭の試食用中華そばを参加者全員に振る舞った。「おいしい。これは間違いない」と、参加者らは変わらぬ味の中華そばに舌鼓を打った。文化講座について同公民館文化部長の小川剛史さんは「これまで焼き肉や和菓子を取り扱ってきたが、飯田のラーメンも学んでみたかったというのがきっかけ。文化部の講座は楽しいことをやってくれるという期待もあり、多くの人が集まってくれて良かった」と手応えを感じていた。
参加者の一人、外谷一夫さんは「長野市出身で、飯田に来た当時のラーメンのおいしさに感動したのを思い出した。久しぶりに食べることができて良かった」、参加者の女性は「ラーメンの歴史など勉強になった。試食の量の多さに驚いたが、上海楼と新京亭の話が印象に残った」と、それぞれ振り返る。