
人形アニメーション作家・川本喜八郎さんの生誕100年を記念し、かつて川本さんが通っていた喫茶店「カフェ・ド・トルンカ」が6月22日、川本喜八郎人形美術館(飯田市本町1)で、一日限定で復活した。
同イベントは、同館が展開する特別展や記念企画の一環。カフェ・ド・トルンカは1993(平成5)年から2003(平成15)年まで東京都国立市で営業していた喫茶店。川本さんは土曜の昼に毎週のように訪れ、ハヤシライスや季節限定のサラダスパゲティ、ボルシチなどを好んで注文していたという。
店名は、川本さんが師事していたチェコの人形アニメ作家イジィ・トルンカさんにちなみ、開業時に川本さんに相談して決定。名称使用に当たっては、川本さんがトルンカさんの遺族に直接確認して承諾を得たという。
当日は、元店主で川本プロダクション代表の福迫福義さんが、知人から取り寄せたジャーマンローストのコーヒーを振る舞った。会場には、川本さん、福迫さん、黒柳徹子さんの3人が写る写真も展示し、往時の雰囲気を伝えた。
来場した春名将行さんは「福迫さんは聞き上手で、質問するよりも自分の話をたくさんしてしまった。当時、店が人気だった理由も納得」と振り返る。
福迫さんは「最初は緊張したが、体が覚えていて徐々に感覚が戻った。川本さんが見守ってくれているようだった。今後も声がかかるようなら、喜んで行いたい」と話す。
同館では今後、川本さんが人形制作のために集めていた布を使ったワークショップや、遺作となった長編人形アニメーション「死者の書」の特別上映も予定している。