飯田市千代に青藍洞窯を構える陶芸家・川手敏雄さんの作品展「やきもの展『皿・さら・サラ』」が7月18日、長野県飯田創造館(飯田市小伝馬町)で始まった。
川手さんは埼玉県羽生市出身で、1975(昭和50)年に飯田市千代に登り窯を設け、加藤唐九郎さん、重高両さんに師事し、1978(昭和53)年に作陶で独立。木こり、畑、山菜採りなども行いながら灰で釉薬(ゆうやく)を作り、作陶活動に励んでいる。過去には伝統工芸新作展入選、中日国際陶芸展入選、朝日陶芸展入賞などの受賞歴があり、飯田や関東を中心に個展を開いてきた。
川手さんは、以前から夢だったパリでの展覧会プロジェクトを進めていたが、コロナ禍で宙に浮いていた。2022年、日本や韓国に長年住んでいた陶芸家ドーフィーヌ・スカルベールさんとの出会いをきっかけに、昨年8月~10月にフランスのブルゴーニュ・ラン村での作陶が実現し、夢だったパリでの展覧会をギャラリー・プリズムで開くことができた。
普段は自作の「イッテコイ窯」で作品作りに励む川手さん。イッテコイ窯は、たき口の上に煙突があり、炎が室全体を走って煙突方向に戻ってくるため、「イッテコイ窯」と呼ばれる。窯の中の温度がどこでも一定なのが特徴だという。今回の展示会は、この窯で焼いた皿を中心に100点ほどを展示即売する。川手さんは「千代で登り窯を作って来年で50年。毎日、身近で使える皿を作っているので、ぜひ見に来てほしい」と呼びかける。
期間中の7月21日13時30分から、川手さんの娘で、パリ在住の服飾デザイナー・麻子さんとギャラリートークを行う予定。昨年のフランスでの作陶活動や展覧会の話などを披露する。
開催時間は9時~17時(最終日は15時まで)。7月23日まで。