飯田で高速バス新宿線、名古屋線、長野線の始発・終着となる飯田(飯田商工会館)バス停が3月31日、最終便の18時54分発新宿行きを最後に廃止された。
飯田を拠点とした高速バスを運行する信南交通(飯田市大通)によると、飯田バス停は1966(昭和41)年12月に飯田商工会議所のビル竣工と同時に、銀座にあったバスターミナルを移転したのが始まり。高速バスをはじめ、乗り合いバス路線など多くのバスの発着拠点として発券所や休憩所スペースが設けられ、多くの市民が通った場所として親しまれた。2014(平成26)年に現在の飯田商工会館ができ、発券所や休憩所がなくなり、バスの待機スペースと待合のベンチのみのバス停となった。
「丘の上」と呼ばれる中心市街地の人口減少に伴うバス停利用客の減少、長距離バス運転手の勤務時間管理の問題などが社会問題となり、コロナ禍が追い打ちをかけた。信南交通サービス部の林浩人さんは「長い間利用いただき大変感謝している。廃止に当たり断腸の思いではあった」と感謝の思いを伝える。
この日、最後の便を見送ろうと数人の市民が駆け付けたが、バスに乗車する客はいなかった。
バス停の前で和菓子店を営む三吉野の吉野昌子さんは「バスが行き来しなくなるのはさみしい。前から信南交通にはバス停を維持してほしいと求めてきたが、時代の流れには逆らえないので仕方ない」と肩を落とす。
4月1日以降、高速バスは飯田駅前が始発、終着になる。