飯田市美術博物館(飯田市追手町、TEL 0265-22-8118)で現在、文化トピック展示としてユネスコ無形文化遺産登録記念「南信州の風流(ふりゅう)踊」が開催されている。
昨年11月、阿南町に伝わる「新野の盆踊」と「和合の念仏踊」を含む「風流踊」がユネスコ無形文化遺産に登録。今年2月には阿南文化会館で記念イベントも開かれた。
展示ではパネルや使われていた道具などを紹介しており、新野の盆踊からは、新盆の家の盆棚に飾る「切子灯籠」や古文書、和合の念仏踊では、舞手が使う「やっこ」「太鼓」「かね」、飾りの一部として「柳」「灯籠」などを紹介。太鼓の胴に使われていた皮の展示もあり、内側には1848(嘉永6)年、1874(明治7)年、1920(大正9)年に皮を張り替えたとの記録が残されている。
展示ケースの手前のモニターでは、新野の盆踊、和合の念仏踊を映像で紹介。展示を企画した学芸員の近藤大知さんは「道具や古文書、映像を見て興味を持ってもらえれば」と話す。
併せて、泰阜村に伝わる「榑木(くれき)踊り」も紹介。漆平野(しっぺいの)地区の神社で保管されている太鼓や鐘、切子灯籠や踊りの時にかぶる笠、1835年に書かれた「のぼり旗」などを展示している。同村では江戸時代、耕作地が少なかったため米の代わりに「榑木」を年貢として納めていた。榑木踊りは鎌倉時代の念仏踊りを源流としており、年貢の完納を喜び、神々に感謝するため6つの集落で行われてきた。現在は、温田(ぬくた)地区のみで行われている。
近藤さんは「新野の盆踊の灯籠を作れる人が1人になってしまった。改めて伝統芸能を継承することは難しいと感じた。時代の変化で途絶えた民俗芸能もある。伊那谷で暮らしてきた人々の手によって伝えられてきた文化を知ってほしい」と来館を呼びかける。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館(祝日の場合は翌日休館)。観覧料は、一般=400円、高校生=300円、小中学生=200円。8月27日まで。