中央自動車道の飯田インターから車で15分の場所にある「猿庫(さるくら)の泉」(飯田市上飯田、TEL0265-22-4851)で現在、野だてが行われている。
風越(かざこし)山麓の円悟沢(えんごさわ)に湧く「猿庫の泉」は、環境省が1985(昭和60)年に選定した「名水百選」の一つに選ばれている。その水を使い、毎週日曜に野だてが行われている。市内羽場地区でお茶の教室を開く4社中が当番制で抹茶を振る舞う。時間に余裕がある時は、点前も披露する。菓子は、和菓子店「きねや」(砂払町)が「猿庫の泉」のイメージから商品化した、うぐいす餡(あん)の「泉まん十」を用意する。菓子付きで一服500円。
市内から野だてに参加した女性は「外の緑を楽しみながら、気楽に抹茶をいただけるのがうれしい」と山の緑を眺めながら話す。尾澤社中茶道講師、尾澤澄子さんは「軟水で癖のない『猿庫の泉』でお茶をたてるとまろやかになる。木々の間を風が吹き抜け、緑がそれぞれに目に映え、季節を楽しめる場所。抹茶や水を飲みに来てほしい」と笑顔で話す。
猿庫の泉では昭和40~50年代、各社中がそれぞれに茶の稽古や野だてを楽しんでいたという。名水百選に選ばれてからは観光客などへ抹茶と菓子の提供を始め、今まで続いている。コロナ過で野だてを行わないときもあったが、今年は以前同様、5月に始め、県外からの来客も続いている。
泉周辺の整備を「猿庫の泉保存会」が続けている。同会に協力する羽場地区の住民による「猿庫の泉愛護会」も立ち上がり、野だて開催をサポートする。両会では、舗装道路から猿庫の泉へ続くまでの道や手すりの整備の他に、草刈りや掃除も行っている。同市では定期的に水質調査も行っている。日曜以外にも県内外から料理用の水をくむ人が多く訪れる。
呈茶時間は日曜10時~15時。雨天中止。10月29日まで。