三遠南信自動車道の飯田上久堅・喬木富田ICから車で10分の場所にある「九十九谷(くじゅうくたに)森林公園」(喬木村小川)のクリンソウが現在、見頃を迎えている。
7000平方メートルの湿地帯に植栽されている3万株以上のクリンソウが今月上旬に咲き始め、現在は五~八分咲きほどになった。原産種の赤・桃・薄ピンク色と栽培種の黄色も花開き、「くりん草まつり」を開花に合わせ今月21日まで開催している。村民20人ほどがボランティアで活動する「くりん草愛好会」が、果物や野菜・特産品など手作りの品を販売するほか、キッチンカーでは同村名物「竹や 五平餅」の販売もある。
公園東側の大和地「おおわち」地籍に、クリンソウが群生する「クリン洞」と呼ばれる洞があり、クリンソウの美しさを知る人が株分けし増やしたとされる。1996(平成8)年にはクリンソウが同村の花に指定された事を記念し、同村住民の1軒に5株ずつ配布した。2000(平成12)年から同愛好会が、同園でのクリンソウの栽培と管理を続けている。花が終わると株を分け育て、移植して栽培面積を徐々に増やし、草取りもなども全て手作業で行っている。
この地域は2020年に豪雨災害に見舞われ、クリンソウの栽培箇所も広く土砂に埋まり、重機で山道などを整備したが、花に大きなダメージが残ってしまった。散策用の山道や木の橋などを同村が整備し、同会メンバーが花の手入れを重ね、散策しクリンソウを鑑賞できる箇所が以前の広さへ戻りつつある。
五重塔などの先端部分にある「九輪(クリン)」ように輪になって何段にも咲くことから名付けられたとされるクリンソウは、開花期間が1カ月ほどと長く続く。同会の森岡かず子会長は「山から流れてくる水の管理が一番大切。クリンソウを見ると心が安らぐ。今月いっぱい見頃が続くので、お出かけいただければ」と笑顔で呼びかける。
開催時間は8時30分~17時。無料(園内整備のための募金を呼びかける)。