花井メディテック(飯田市北方)が「日本機械学会賞(論文部門)」を受賞し、4月25日、佐藤健飯田市長を訪問し報告した。
医療機器などの超精密精度部品加工を行う花井メディテックは、技術を生かし埼玉大学と「イングリッシュハンドベル」の商品開発を続けている。その共同研究が、機械工学の最先端の研究・技術を表彰する「2022年度 日本機会学会賞(論文部門)」を受賞した。
ハンドベルの製造は、銅(Cu)と錫(Sn・スズ)の2種類の金属を高温で溶かし、鋳型に流し込む鋳造の技術を使うのが一般的だが、均一な製品を製造するのが難しく、コストと時間がかかることが課題だった。効率よく製造するため、金属を溶かして流し重ねる3Dプリンターのような「積層造型(せきそうぞうけい)」という技術での研究が受賞した。「ワイヤ+アーク放電を用いたアディティブマニュファクチャリングによるCuSn合金の材料特性制御技術の開発」がテーマ。
2018(平成30)年から同大と研究を重ねる同社の花井孝文社長は「学生が熱心に取り組む姿勢から、新鮮な気持ちを受け取った。研究した成果を製品化へつなげるように、実現性を踏まえて今後のテーマを探っていく。従来にとらわれず若い人に向けて、もっと安価に簡単に製造し、ハンドベルを提供したい」と意気込みを見せる。
同社で研究に携わった片桐直弥さんは「3Dプリンターは機械自体が高価で、鋳造は『型を造る』という過程が多く必要になる。どこもやっていない『積層造型』を使い、管楽器を製造するのに良いとされる、銅とスズ(8:2)の合金で、音の伸びや音への影響を周波数で確認しながら切削、研磨してハンドベルを製造した。合金の捨てる部分も少なく、品質も安定し、課題をクリアできる」と研究を振り返る。
研究に参加し受賞者でもある、ネクストイイダのオーガナイザーで工学博士の久保田優典さんは「研究での取り組みで、新しい展開が生まれた。世界的ハンドベル」と笑顔で話す。報告を受けた佐藤市長は「遊び心も持って、裏付けを持って、日本を代表して世界へも進出していただきたい」とエールを送る。