農業従事者などで構成する「南信州日本なし産地再生プロジェクト」(飯田市追手町)が現在、梨を使った菓子などの商品化をする店や事業者を募集している。
日本梨の情報発信などを目的に、果樹生産者やJAみなみ信州(鼎)、市町村、県関係機関などで構成される同プロジェクトは昨年6月30日、設立された。飯田下伊那地域は明治時代から日本梨の栽培が続く県内有数の梨産地だが、同プロジェクトでは「人材確保」「栽培技術」「品種育成」「販売戦略」を課題に挙げ、地域の日本梨の発展を目指す。
「飯田下伊那には菓子店が多いが、日本梨を使った菓子を見ない」と、JA職員から意見が挙がり、製菓業者や飲食店、冷凍食品製造者と協力し、日本梨の商品化へ取り組んできた。現在は、菓子店5店、飲食店1店、冷凍商品製造1店の7店が試作を進め、マドレーヌ・パイ・まんじゅう・大福・冷凍スムージー・アイスクリームなどの商品が完成し、5品を販売している。今後、梨の収穫時期に合わせて、各店で新商品の販売を予定する。
同プロジェクトでは4月末まで、日本梨の商品販売に参加する店や事業所を今月末まで募集。県南信州農業農村支援センターの橋爪紀子さんは「梨の特徴は香りとシャリ感で、水分が90%以上あり加工するのは難しいと聞いたが、食感や味を生かした新商品が次々と誕生した。シェフの持ち味で、日本梨を生かしてほしい」と参加を呼びかける。
日本梨の本格的な収穫時期に当たる8月中旬から秋に向けて、日本梨の菓子を販売する店を紹介するマップや、のぼり旗、JR飯田線の電車内用広告を制作し、日本梨をアピールする。「日本梨の実る頃に、どの新商品も購入できるように準備する。生の日本梨と加工品とを同時に味わっていただけたら」と、橋爪さんは笑顔で話す。