歌舞伎のせりふに合わせて書道とイラストを描くパフォーマンスが11月10日、「皇大神宮(こうたいじんぐう)」(下條村陽皐)の境内にある歌舞伎用舞台の前で行われた。
同イベントは、村の地歌舞伎「下條歌舞伎」が2020年に伝承300年を迎えたのを記念して行われ、太夫役の斎藤充さんが語る「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」のせりふに合わせ、飯田市出身の書家でイラストレーター、和全(わぜん)さんが、「繋(つなぐ)」の文字と主人公、曽我五郎の姿を縦1.6メートル、横2.7メートルの和紙に描いた。
斎藤さんは「普段、太夫はせりふを言わないが、やりたいようにできた。初めての試みだったが面白かった」と話し、和全さんは「下條歌舞伎が後世にもつながってほしいという思いを込めた。(歌舞伎を)知らない人も作品を通じてつながっていくとうれしい」と話した。
今回のコラボレーションは、下條歌舞伎保存会で事務局長も務める斎藤さんが、和傘に入れる書とイラストを和全さんに依頼したことから話が広がり実現したという。
同会の福澤利尚会長は「どんなことをするのかと期待していたが『すごい』の一言。歌舞伎は地域の昔と今をつなぐもの。今は朽ちている舞台を改修して上演するという夢に向け、良いきっかけになる」と笑顔を見せた。
23日にはコスモホール(下條村睦沢)で保存会による記念公演が行われ、併せて「白浪五人男」の演目を題材にした同様のパフォーマンスを披露する。