阿南町で8月14日、共に国重要無形民俗文化財でユネスコ無形文化遺産登録を目指す「風流踊(ふりゅうおどり)」の一つである「新野の盆踊り」と「和合の念仏踊り」が始まった。
新野の盆踊りは阿南町新野地区で室町時代から約500年続く「風流踊」とされる盆踊りで、毎年8月14日~16日、17日朝まで夜通し3日間踊り明かす。14日21時、新野地区の目抜き通りに集まった住民が、やぐらの上で音頭を取る「音頭出し」の盆唄に合わせて踊り始めた。7種類あるという盆唄は太鼓や笛などの楽器を一切使わない静かで風流な踊り。時間がたつにつれ徐々に人々が集まり、200人を超える踊りの輪ができた。この日は新型コロナ対策で24時までに短縮されたが、参加した女性は「3年ぶりなので最初は踊りについていけなかったが、徐々に踊れるようになって楽しかった」と話していた。
和合の念仏踊りは阿南町和合地区で約300年続く長野県を代表するお盆の念仏踊りで、毎年8月13日~15日に行う。今年は13日が雨で中止となり、14日が初日となった。新型コロナウイルス感染防止のため、3年連続で観覧者を地元住民に限定して行った。 20時過ぎ、同地区の林松寺の境内で「庭入り」が始まり、ヒッチキ、太鼓、かね、ヤッコ、花などの行列が行進。「ヤ―トーセ―」の掛け声とともにヒッチキと呼ばれる踊り手が2人1組で体をぶつけ合いながら境内を飛び回った。その後、「念仏」「和讃」の儀式で先祖や新盆を迎えた人々を供養し、厳かな念仏・和讃の声が響いた。同踊り保存会会長の平松三武会長は「新型コロナウイルスや台風の接近もあったが、無事に開催できた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。