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飯田・遠山郷で「霜月祭り」始まる 伝統の面と豪快な湯立てで魅了

湯切りをする土王

湯切りをする土王

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 国重要無形民俗文化財「遠山の霜月祭り」(飯田市上村・南信濃)が12月6日、中郷・正八幡宮(上村中郷地区)と小道木熊野神社(飯田市南信濃小道木・川合地区)を皮切りに始まった。

ヤーッセーのかけ声で飛びまわる木王

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 旧暦の霜月に行われ、太陽が衰弱する季節に復活再生を願う「遠山の霜月祭り」。旧上村中郷集落にある正八幡宮は、老朽化のため2002(平成14)年に建て替えられたという。当日は早朝から準備を行い、本祭りが始まる。さまざまな儀式を終え、7日未明から「四つ舞」「襷(たすき)の舞」「羽揃(ぞろ)えの舞」に続き、「鎮目(しずめ)の湯」「日月(にちげつ)の舞」を経て面(おもて)が登場する。「神太夫(かんだゆう)」と「姥(うば)」と村人との問答で始まり、「八社の面」「津島天王」が続く。湯立を行う四面のうち「水王(みずのおう)」「土王(つちのおう)」が登場すると照明が暗くなり、釜の湯を素手で周囲にはねかけると歓声が沸いた。その後、「木王(きのおう)」「火王(ひのおう)」が登場すると、氏子や観客らの「ヤーッセー、ヤーッセー」のかけ声で、四面らが社殿内を激しく飛びまわり熱気に包まれた。最後に宮天伯(武内宿禰=たけのうちすくね)が登場し、邪気を払い、「天下泰平、五穀豊穣、目出度かなう」と唱え退場し、面の舞を終えた。

 同地区の世帯数は約10軒23人程度。高齢化で祭りの継承が難しくなる中、地区の若手で、小学校の頃から祭りに参加しているという柄澤聖さんは「2年ぶりに帰ってきて参加した。初めて四面の火王を舞ったが、楽しくできた」と話す。祭りを取り仕切る社守(しゃもり)の坂茂典さんは「今は地区外に住んでいる人が応援に来てくれるので成り立っているが、年々人が減ってきている」と課題を挙げ、「さまざまな考えはあるが、簡略化するなど地区の関係者で可能な限り継承していきたい」と前を向く。

 家族で訪れた佐藤健飯田市長は「今日は祭りに参加させてもらった。写真で見るのとは違い実際に見ると魅了される。いいだのイイネ!を発見できた」と話していた。

 祭りは遠山郷各地の神社で行われ、開催日程は以下の通り。12月11日=上町正八幡宮、同13日=下栗拾五社大明神、木沢正八幡神社、和田諏訪神社、同14日=程野正八幡宮、同15日=八重河内正八幡神社。

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