暮らす・働く

飯田のソーラーシェアリング、カボチャやシイタケ栽培軌道に乗せる

収穫した万次郎カボチャと熊谷弘社長 ソーラーシェアリング発電所をバックに

収穫した万次郎カボチャと熊谷弘社長 ソーラーシェアリング発電所をバックに

  • 0

  •  

 家電販売や太陽光発電の販売・施工などを手がけるリックス(飯田市三日市場)が10月17日、農作物を栽培しながら太陽光発電をする「ソーラーシェアリング事業」(営農型太陽光発電所)の発電設備や栽培の様子を地元の報道関係者に公開した。

ブルーベリーのソーラーシェアリング発電所を説明する熊谷弘社長

[広告]

 現在、同社では「ブルーベリー栽培」(3発電所)、「菌床シイタケ栽培」(1発電所)、「万次郎カボチャ栽培」(3発電所)の3品目7発電所でソーラーシェアリング事業を展開している。昨年の総発電量は年間290742.8キロワット(4月から稼働の万次郎カボチャ2発電所除く)。

 同社は再生可能エネルギーで南信州を元気にしたいというモットーを掲げ、「結いプロジェクト」と名付けた事業では、公共施設に太陽光発電施設を設置し、災害時の非常用電源の確保や売電収益の一部を寄付するなど行ってきた。ソーラーシェアリングは全国では約5000件、県内では約100件の事例があるという。食文化の振興という意味からも「結いプロジェクト」の一翼を担う事業となる。

 菌床シイタケは2020年10月、アップル工房(座光寺)の技術指導を受けて栽培を始め、昨年1200の菌床から644.68キロの収穫量があった。ハウス内は空調設備がないため、春と秋に限定して栽培。当日も棚に並ぶ菌床にびっしりとシイタケが育っており収穫の時期を迎えていた。収穫したシイタケは地元スーパーの直売所で販売するという。

 ラグビーボールのような楕円(だえん)形の形をした万次郎カボチャは1本の苗から最大1000個のカボチャを収穫できるといわれ、丈夫で生育が早いため、ソーラーシェアリングに適するという。昨年は5本の苗から460本を収穫した。収穫したカボチャは直売所で販売するほか、学校給食(カボチャスープ)などに使われ、地産地消と地域の子どもたちの食育面に役立てている。ブルーベリーは2020年12月に栽培を始め、昨年は164,905キロを収穫。

 同社の熊谷弘社長は「耕作放棄地や遊休農地の再生を考える中、『ソーラーシェアリングは食とエネルギーの自給自足に適しているのでは』と思い、自宅周辺で農地を借り、農地の一時転用許可を受けて始めたのがきっかけ。ようやく農業の実績もついてきた」と話す。「最近は農水省はじめ、県内外の行政から視察も来るようになった」とも。今後については「クリアしなければいけない部分はあるが、将来的に農家の収益増につながる取り組みなので、オンサイトPPAという形で地域の農業法人などに設置を提案していきたい」と意気込む。

ピックアップ

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース