
喬木村出身の山本武さんがコレクションしたチョウの標本展「たけしくんの蝶」が9月23日、飯田市美術博物館(飯田市追手町)の市民ギャラリーで始まった。主催は「たけしくんの会」。
幼い頃から自然の中を飛び回ることが大好きだった山本さん(埼玉県川口市在住)は、65年ほど前からチョウのコレクションを始めたという。炭焼きの手伝いをしながら祖父からチョウのことを教えてもらったのがきっかけ。小・中学校の担任の先生がそれぞれチョウ好きだったこともコレクションに拍車をかけた。
これまで趣味としてコレクションしたチョウは約3500種類。今回は、そのうちの一部で標本ケース60個分を展示。チョウを標本にし始めたのは社会人になってから、1980(昭和55)年ごろからだという。日本のチョウをはじめ、海外へ3回ほどチョウを求め自ら採集に行ったり、業者からチョウを取り寄せたりするなどして集めた珍しい標本も展示する。
採集地はタイ・マレーシア・インドネシア・ソロモン諸島・南米・アフリカなど多岐にわたる。飯田下伊那などで採集し、近年個体数が減少するギフチョウなども展示。一番のお気に入りは、ソロモン諸島から買い付け、黒い羽根に美しい緑の模様が映える「ビクトリアトリバネアゲハ」。チョウの魅力について、「まずは美しさ、年数がたつと徐々に希少価値に魅力を感じている」と話す。「美しいものを見ると心が晴れる。一度見に来ていただければ」とも。
展覧会を開くきっかけになったのは中学校の同級会。山本さんがチョウの標本を集めていることを聞き、稗田隆彦さんをはじめとする同級生らが中心となって「たけしくんの会」を立ち上げ、今回の展覧会が実現した。稗田さんは「世界には多くのチョウがいることを見てほしい、会期中は毎日山本さんがいるので、声をかけて話を聞くこともできる。ぜひ多くの人に足を運んでほしい」と呼びかける。同級生らが次々と駆け付ける会場で、山本さんの高校時代の同級生、井口昇治さんは開口一番「こんな趣味があるとは知らなんだ」と声をかけた。「同級生全員に通知をして呼びかけた」と展示会を盛り上げる。
飯田市鼎切石から訪れた夫婦は「こんなに珍しいチョウを見たのは初めて。長年集めてきたこともすごいことだが、きれいに保管されていることに感心した。好きでないとできない」と感心していた。
開催時間は9時30分~17時(最終日は16時まで)。今月28日まで(24日は休館)。