
チーズ工房とカフェ、キャンプ場が一体となった複合施設「Hygge Heidi(ヒュッゲ ハイジ」(売木村)が4月19日、グランドオープンした。
施設は標高約900メートルの高原に立地し、自然に囲まれた環境の中でヤギを放牧飼育する。立ち上げたのは、池上宝さんと小桐滉平さんの2人。池上さんは10年前に売木村へ移住し、「うるぎ温泉 こまどりの湯」の駐車場を拠点に「TAKARAチーズ工房」としてチーズやヤギミルク、ソフトクリームの製造・販売を続けてきた。福島県でもヤギの飼育経験があり、売木でもグラスフェッド(広大な牧草地にヤギを放牧し、主に牧草を食べさせて育てている)による飼育を行っている。
昨年、道の駅「南信州うるぎ」から車で数分の現在地に移転し、グランドオープンに向けて準備を進めてきた。施設の1階がカフェ、2階が宿泊スペースで、デッキや敷地内にはバーベキュー設備やキャンプ場も備える。バーベキューは、同村の精肉店から仕入れる牛・豚・鶏肉や野菜などをセットにし、3日前までの予約制で、手ぶらでも楽しめるようにした。料金は、小学生まで=2,000円、中学生以上=4,000円。
カフェでは、自家製のヤギチーズやヤギミルクを使ったメニューを提供。ピザは20センチサイズ(1,600円~)で、「クアトロフォルマッジ」「シカサラミとヤギチーズ」「ヤギチーズとリンゴ」などを用意する。ヤギミルクのソフトクリーム、同施設の平飼いニワトリの卵を使ったプリンも提供し、ドリンクはリンゴジュース、コーヒー、ワイン、生ビール、自家製ジンジャーエールなどをそろえる。
小桐さんは「ソフトクリームを買って、店内ではなく外の景色を眺めながら食べているお客さまの姿が多い。食べ終えた後も景色をしばらく眺める方が多く、この場所でゆっくりしている様子」と話す。日中、ヤギは村内の草地で除草を兼ねて草を食べており、自然と共生した営みが見られる。3月には子ヤギ16匹が生まれ、施設周辺で自由に過ごす姿が見られるのも特長の一つになっている。
池上さんは「売木で仲間が増え、みんなから『ハイジのような暮らし』と言われる。デンマーク語で「幸福感」などの意味を持つヒュッゲと合わせた。建物などが増えず、10年前と変わらないこの景色の中で、訪れた皆さまに幸せな時間を過ごしてほしい」と、名前に込めた思いを紹介する。
営業は土曜・日曜・月曜の11時~16時。