
高森町在住で「苔(こけ)ファーム」を営む小木曽廣さんが手がける「コケテラリウム」の展示販売スペースが、日帰り温泉施設「御大の館」(高森町)にオープンして、4月15日で1カ月がたった。
小木曽さんは、コケを瓶などに入れて観賞するコケテラリウムの制作を2年ほど前に始めた。「コケは緑色から変色してしまうと思われがちだが、適切な手入れをすれば美しい色を保てる」と話す。「りんごの里 農産物販売所」(飯田市)、「信州まつかわ温泉 清流苑」(松川町大島)に続き、同所は3カ所目。
家族の看護を長年続ける合間に、「山を歩いていた中でコケの美しさに魅了された」と小木曽さん。自宅横や高森中学校(下市田)近くの畑でコケの栽培を始め、本格的に観賞用のコケを育てている。「苔ファームがあるこの場所は、適度な湿度があり北風や南風が吹き上げ、日陰のバランスも良く、コケの栽培に適している」とも。
育成の過程では「乾いたら水をやり、雑草を取り除く。肥料は与えないのが良いと分かってきた。静岡のコケ組合とも情報交換しながら、「土のブレンドや手入れ方法を試行錯誤してきた」と振り返る。
現在は、高さ10~30センチほどの作品8点を並べる。一つのコケテラリウム中に、カサゴケ、タマゴケ、コウヤノマンネングサ、ヤマゴケなど、背丈の違う数種類のコケを組み合わせることで、立体感や奥行きを表現する。
同施設では、足を止めて作品を眺める温泉客や、「コケはどこで栽培しているの」「手入れはどうするの」などと小木曽さんへ声をかける人の姿が見られる。
小木曽さんは「高森のコケを県外のコケ仲間に見せると、美しさに驚かれることがある。この土地はコケの生育に適していると感じている。みずみずしいのがコケの魅力。生の植物はいい」とコケの奥深さを話す。
営業時間は10時~21時30分。火曜定休。