
丘の上ファーム(豊丘村神稲)代表の原昌紀(まさのり)さんが2月12日、「明日の長野県農業を担う若人のつどい」の農業プロジェクト発表で最優秀賞に輝き、10月開催の関東ブロック大会への進出を決めた。
「ぶどうまもーる」を取り付けた状態。ブドウを上から狙うハクビシンを撃退する
長野の青年農業者が一堂に会する同会は、農業経営に関する研究成果を伝える「農業プロジェクト発表」と、農業に従事したての若い農業者が行う「意見発表」の2つの部門から成る。原さんは、3年ほど前から開発、試作を重ねる「ぶどうまもーる」の成果を発表した。
サクランボや桃、リンゴなどの果樹を広く栽培する同園は、ハクビシンによるブドウへの被害に悩まされていた。傘をヒントに鳥獣害を防げないかと、果実を保護する傘の試行錯誤を続け、直径60センチのプラスチックフィルムで、ブドウを一房ずつ覆ってハクビシンの被害を防ぐ「ぶどうまもーる」を開発。原さんは「1人で取り付けられるよう、大きさや厚さなど試行錯誤した」と特長を紹介する。
原さんは「これまでもハクビシン対策はいくつかあった。電気柵やネットは設置や維持が大変、ハクビシンが嫌う匂いで撃退しても匂いにすぐ慣れてしまう。ハクビシンの捕獲はかなり難しく、捕獲したところで対処に困る」と振り返る。
「ぶどうまもーる」を使ったエリアと使わなかったエリアで比較実験を行った原さんは、同会で、「使ったエリアではブドウを取られなかった」という結果を発表。「他の農業者の発表が素晴らしかったので、自分が受賞できたことが大変うれしい」と受賞の喜びを話す。
「ハクビシンを傷つけることなくブドウを守り、『ブドウをやっと収穫できた』との声も届く。農業を通じて笑顔が広がるよう活動を続ける。関東ブロックで良い成績を残して、全国大会へ出場できれば」と意気込みを見せる。