小学5・6年生と中学生を対象にした文化講座「アートのじかん」が1月18日、飯田創造館(飯田市小伝馬町)で開催された。同イベントは、飯田市教育委員会が主催し、地域の芸術家らが講師となり、子どもたちにアート制作の体験機会を提供する試み。
小学5・6年生と中学生を対象にした文化講座「アートのじかん」
今回で3回目となる同講座では、「陶芸」「日本画」「銅版画」「染色」「木工」「彫刻」の6つの体験メニューを用意し、事前に希望するメニューを選択した35人が参加した。講師は、実行委員会代表で日本画家の手塚俊尚さん、陶芸家の古田武喜さん、彫刻家の木下剛亨さん、銅版画家の小島敬介さん、木工家の久保田貴人さん、染色家の大藏光彦さんらが指導に当たった。
同講座を企画したきっかけについて、手塚さんは「中学校の部活動が地域移行する中で、美術は基盤がまだ整っていない。子どもたちが美術に触れられる場を地域で作る必要があると感じた。試行の段階だが、こうした取り組みを通じて未来の美術教育の在り方を模索している」と話す。
当日の日本画講座では、福井県産の手すき和紙や雲肌麻紙などを使い抽象的な表現に挑戦。手塚さん指導の下、参加者は、「水干絵の具」「胡粉(ごふん)」といった日本画の顔料を使いながら、思い思いの色彩や形を表現した。手塚さんは今回のテーマについて、「さまざまな表現方法を試してから、思いついた世界を形にした」と紹介する。
参加者からは「いろいろな技法を教えてもらえて楽しかった」「自分の想像力を広げる良い機会になった」などの感想のほか、「また参加したい」という声も聞かれた。
手塚さんは「美術の授業時間も減少傾向にある中で、こうした活動を通じて美術に向き合う時間を子どもたちに提供したい。美術が廃れることのないよう、これからも機会を作っていきたい」と意気込む。