飯田下伊那の小中高生を対象とした「藤本四八(しはち)記念小中高校生写真賞」の表彰式が1月18日、丘の上結いスクエアの「ムトスぷらざ2階」(飯田市東和町)で開催された。
写真家・藤本四八は1911(明治44)年に飯田市松尾で生まれ、1996(平成8)年には日本写真家協会功労賞を受賞するなど、写真芸術の向上に大きく貢献した。その藤本四八にちなみ、飯田市美術博物館(追手町)では、飯田下伊那の小中高生を対象とした写真展を開いた。
応募総数は102点。小学生の部16人、中学生の部16人、高校生の部33人が応募し、藤本四八記念賞1人、しんきん大賞3人、水谷章人特別賞3人、飯田市教育長賞3人、美術館長賞4人が受賞し、表彰式後には同会場で総数102点の作品展が始まった。
表彰式であいさつした飯田市教育長の熊谷邦千加さんは「今年はより多くの応募があり、ありがたい。作品のレベルが年々上がっているのを感じる。感動的で訴えかけてくるような写真が多く並び、毎年参加してくれる子どもたちの成長を見られることもうれしい」と参加者をたたえた。
最優秀賞である「藤本四八記念賞」を受賞した伊賀良小学校(北方)5年の坂口凜太郎さんは、庭のモミジにとまったヒヨドリを撮影した作品「冷たい雨」について、「朝、鳥がいるのを見つけて慌ててカメラを用意し、約10メートルの距離から撮影した」と、その瞬間を振り返った。
坂口さんが鳥を好きになったのは、幼稚園年中の頃に家でインコを飼い始めたことがきっかけだったという。「その頃から鳥が大好きになり、子どもの日に母が鳥の図鑑を買ってくれたことで、さらに興味が深まった。それからは鳥を見に行くのが楽しみになり、これまでに400種類以上の鳥を観察した」と話す。
小学1年生の時には、望遠鏡にスマホを付けて鳥を熱心に撮影するようになり、本格的なカメラを購入してもらったという。現在は「ニコン COOLPIX P950」を使っており、「カメラを通して見ることで、鳥の細かな姿や、今まで気づかなかった部分が見えるようになった」と話す。「ぬれた羽や、滴がついたボサボサの毛並みなど、雨が降っている様子が分かりいい」と振り返り、「もっと迫力のある写真をこれから撮影していきたい。明るさ、画質、倍率、ピントなど全てが難しくて重要」と意欲を示した。
熊谷さんは「写真を通じて、何に感動し、何を表現したいのか子どもの姿や心が見えてくる。好きなことや得意なことを写真で表現し続けることで、自分の感性が磨かれていく」と述べ、参加者にエールを送った。
作品展は、1月18日~2月2日の8時30分~22時=「ムトスぷらざ」2階、2月7日~23日の9時30分~17時=「飯田市美術博物館」で、3月3日~14日の10時~15時=「飯田信用金庫ロビー」(本町)で、順次開催。観覧無料。