地元の高校生と音楽を通じて南信州の魅力を探るディスカッション開催
「南信州暮らし」をテーマにした楽曲が完成!
提供:南信州広域連合 制作:飯田経済新聞編集部
南信州広域連合は2022年10月8日、「丘の上結いスクエア」で音楽を通じて地域の魅力を考えるイベント「南信州ライフ×高校生ライブ」を開催。2月下旬、「南信州暮らし」をテーマにした楽曲「このまち」が完成した。
今回のイベントは、南信州(*1)への移住定住促進事業の一環。ディスカッションの前に高校生らがライブを行った。コロナ禍で発表の場を失った音楽系部活の発表の場でもあり、参加した11人はのびのびとした歌声を響かせた。今回、南信州広域連合から「南信州暮らし」をテーマに楽曲制作の依頼を受けた下條村出身のシンガーソングライターでこ(篠田真悠香)さんも演奏を披露した。
進行役の桑原利彦さん(創発コーディネーター)は「南信州の魅力って何だろう?大人が考える魅力と、高校生が考える魅力って違うのかな?地元の若者が音楽を通じて暮らしの中にある感動や気づきを得て、その時の風景、その時の感情を曲作りに生かし、曲作りの楽しさや喜びを感じてほしい。」と挨拶した。
さて、本日の登壇者である地元の高校生11人は「南信州の暮らし」をどう感じているのだろうか。南信州の魅力を探っていくディスカッションではさまざまな南信州の特色を語り合った。早速、ディスカッションの内容をのぞいてみましょう。
*1 :長野県の南、飯田市と下伊那郡と呼ばれる周辺町村の呼称
南信州ライフ×高校生ライブ
日時:
2022年10月8日(土)13:30~16:45
会場:
丘の上結いスクエア 多目的ホール(長野県飯田市東和町2丁目35)
主催:
南信州広域連合
協力:
飯田文化会館・飯田市公民館
登壇:
でこ(下條村出身シンガー・ソングライター)
飯田高校ギター班8人・飯田風越高校フォークソング部3人)
進行:
桑原利彦(創発コーディネーター)
桑原:初めに、今日来てくれた高校生のライブどうでしたか?先輩として一言いただけますか?
でこ:意外と新しい曲じゃなくて、私の知っている年代の曲を演奏してくれたのでうれしいなと思いました。少し前に流行った曲が、何故流行ったのか考えることは大事だと思うし、音楽が深まっていくと思います。
桑原:そうだね。曲にもルーツがあって、今流行っている曲にはお手本にしている曲があって、元をたどればたどるほど本質的にどこがかっこいいのだろう?ってなる。行きづまってくるけど、いろいろ肉付けしていくうちに新しい展開になるんだよね。ビートルズとか革新的なことをやっているアーティストは必ずこのエッセンスを取り入れているよね。
ライブハウスCANVASオーナー、創発コーディネーターの桑原利彦さん(左)。ミュージシャンやラジオのパーソナリティなどの活動の他、飯田で文化やまちづくりを発信するイベントを数多く手がけている。下條村シンガーソングライターでこさん(右)。
でこ:私は、あるビジュアル系バンドが好きなのですが、そのルーツをたどるとフォークソングだったりとか昭和歌謡に行き当たったりしましたね。
桑原:今はサウンド指向で、口ずさむのが難しい曲が多くなってきたと感じるね。年取った時に口ずさむことができなくなるから寂しいよね。昔から変わらないもの、普遍的なものは本質が伝わる。ところでみんなは曲作ったことある?
高校生:ないです。(全員音楽系の部活員です・・・)
桑原:え~!何も作っていないの?それはいかんな~。
でこ:珍しい年代ですね。高校生の時には曲作るのが最低課題だったし、曲作り合宿とかやりましたからね。でも、実は言わないだけで、本当はオリジナル曲を隠し持っているんじゃないのかな?(笑)
桑原:今回の企画趣旨「南信州の暮らし」を考えたときにキーワードになるものってあるよね。でこちゃんはどんな曲作りをするの?
でこ:作業としては「いい景色・いい出会い・いい経験」をした時に歌詞とメロディが浮んでくるので、書き出して録音してから書き直します。いいものに出会ったときが一番ですかね。
桑原:ココロを動かされたときに曲を作る。いいよね。いろいろなものに触れることが大事だなと思うよね。ぜひ、今の高校生には曲を作ってほしいと思う。今の時代に作った曲は一生の宝になるよ。
でこ:去年出たアルバムには高校生時代の最後に作った曲を入れました。今、多感な10代の高校生時代に作った曲は一生の宝ものになると思うのでチャレンジしてほしい。
桑原:きっかけが大事だね~。自分の物を作るのはすごく大事だと思うよ。
それでは今回のテーマ「南信州ライフ」なんだけど、みんなは自分の住んでいるところ好きかな?考えたことはある?
高校生1:近所の近さですかね~。
桑原:フレンドリーで近い。でこちゃんの出身の下條村って家族っぽい人間関係がいいよね。
でこ:近すぎるくらいだよね。
桑原:じゃあ、みんな地元の好きなところ、嫌いなところも含めて意見を聞かせてくれる?
高校生2::飯田市はこの辺りでは都会の方だと思う。それでも自然が残っているのが好きです。
高校生3:市内の中では山に近いところに住んでいますが、車通りも少なく静かで、鳥や虫の声が聞こえるし、空気もおいしい。自分はあまり都会的な雰囲気はあまり好きではないです。
桑原:都会へのあこがれはないの?
高校生3:あんまりないですね。
高校生4:豊丘村に住んでいます。祖母が愛知県出身で、都会だと便利で人や物がたくさんあっていいとは思うけど、南信州は空気がきれいで食べ物もおいしい。自然がいっぱいで“ふるさと”みたいな感じが好きです。
桑原:なるほど
高校生5:松川町に住んでいます。道を歩いていると、知らないおばあちゃんが仲良く話しかけてくれたり、気にかけてくれるところが好きです。
桑原:へ~。最近飯田市内だと知らない人に声かけると間違って不審者になってしまうからね~。そういうの嬉しいよね。
高校生6:どこが好きというのはあまりないし、空気のおいしさとかもわからないけど、不便さは特に感じていない。
桑原:不便を感じたことがない?
高校生6:ん~、スターバックスコーヒーがない。
桑原:確かにね。若い人はみんなスタバが好きだよね。
高校生7:あまり地元は好きではないです。都会だと好きなアーティストが来た時にすぐ観に行けるけど、飯田ではアーティストが来ないから嫌です。
桑原:正直だね。好きなことはない?
高校生7:そんなに不便はしていないところかな。
高校生8:上久堅に住んでいます。信号もコンビニもなくて不便だけど、自然が豊かで、星もきれいなところが好きです。
桑原:散歩するの?夜?山の中に?星は綺麗に見えるよね。不満はないの?
高校生8:小学生の時はコンビニが欲しいと思ったけど、市内の高校に通うようになってコンビニは身近になった。ただ、市街地は自然が少なく違和感を覚えています。道路は整備してほしいです。
桑原:なるほどね~。不便と思ったけど、便利なところと違和感と感じるところがあるんだね。大事な意見だね。
高校生9:地元はあまり好きではない。おいしい飲食店がなくて、若者が楽しめるお店がもっと欲しいです。スタバとかびっくりドンキーとかほしい。流行に遅れている気がする。
桑原:びっくりドンキーか、いいね。
高校生10:豊丘村に住んでいます。居心地が良くて安心感があります。嫌いなところは高校生や若者が楽しめる場所が少ないところです。
桑原:居心地がいい、安心するっていいよね。逆に高校生が遊べる場所が増えると安全じゃない感じがするけどどう?
高校生10:そこは安全性も兼ね備えた施設がほしい。
桑原:今工事が進んでいるリニアや三遠南信自動車道が完成すれば、都会に短時間で行けるようになる。そうなれば、都会に求める便利さや刺激はもっと手軽に得られるようになる。だからこそ今、この地にあるものが失われないように、いいところを大事にする必要もあると思う。
でこ:自分は外に出たからこそ、それに気づけたと思う。都会には無い魅力が南信州にはある。その魅力が曲作りにもつながっている。自分の感動や思いを曲にしていくことはとても大切な経験で、得難い喜びがある。みんなにはぜひ、曲作りに挑戦してほしい。実は南信州広域連合さんから楽曲制作を依頼されていて、今回のみんなのライブや話も参考にして作っていきたいと思います。
⇒その後、でこさんが作った楽曲に高校生たちもレコーディングで参加しました。
*曲作りに参加する高校生たち。桑原さんの経営するライブハウス「Canvas」で収録。
作詞・作曲 でこ
僕が歩いたこの道に 希望の足音が響く
新しい君が芽吹いて 始まってゆく 育ってゆく
早歩きじゃなくていい 君のペースでいい
深呼吸して 光集める その先に 映る 未来
★きこえる 今僕らが生きているメロディ
生まれてきてよかった 新しい今日がはじまる
ふるさと このまち★
虫の声にさそわれて ひとり星を見て歩いた
灯りも音もない夜は 君の心 そっと包む
どうしようもなくなって 涙が止まらなくても
ひとりじゃない ひとりにしない 君のそばに僕らがいる
おしえて 君のうたを 同じ空の下 つないだ物語は
小さくて はかないからこそ 愛せる 愛したい
★くりかえし★
紡いだ 結いの心 一緒に歩こう りんごの並木道を
もしも沈みそうになった時は 思い出して
このまち ふるさと
ららら
でこ(篠田真悠香)
Profile
長野県下條村出身、飯田風越高校卒、山梨県富士吉田市在住のシンガーソングライター。
広いおでこと短い前髪がチャームポイント。
ひとや自然に寄り添ったものがたりを歌っています。
絵本のような世界観と独特な歌声、つま弾くギターの音色が聞く人、観る人を魅了します。
山梨県富士吉田市のラジオ局「エフエムふじごこ」のパーソナリティとしても活動中。
2021年発売の「セゾン」、2022年発売の「リバース」などのNEWアルバムをはじめ、全7枚のCDをリリース。
でこさんから曲作りを終えてのコメント
「始めはプレッシャーもありました。南信州の高校生たちや関係者の皆さんと音楽イベント&交流会を行い、新しく生まれた「結いスクエア」、高校時代を過ごした懐かしい丘の上の街並み、その後巡った南信州各地の自然豊かで人情味あふれる美しい景色に心動かされ、あっという間に「このまち」が完成し、高校生のみんなのあたたかい歌声も入って、この素敵なふるさと南信州に住む人、来る人、全ての人に寄り添える素晴らしい楽曲になったと思います。たくさんの方に聞いていただけたら嬉しいです」
南信州広域連合事務局 広域振興係 野牧和将さん(飯田市上村の遠山郷下栗の里にて)
長野県南信州は段丘地形など谷あい特有の寒暖差と、日照時間が長く長野県内で最も温かい地域です。水がおいしく、果物や野菜は北限・南限が交差する事から多くの種類が採れ、古くから独自の食文化による伝統食が育まれ、山や川の恵みをはじめとする多彩な食が満載です。
また、この地域は古くから連綿と伝わる民俗芸能の宝庫でもあります。神楽や盆踊り、人形浄瑠璃、歌舞伎、獅子舞、手作り花火など、毎年たくさんの祭りが四季を通じて開催されています。山岳の中にあって自然を敬い感謝しつつ、一方で都市の流行を取り入れ、たくましく生きてきた先人たちの生き方が、現代の私達のライフスタイルに影響を与えています。
南信州暮らしのプロジェクトを担当している南信州広域連合 事務局 広域振興係 野牧 和将さんは「高校生との交流を通して、でこさんが創ってくれた曲が、南信州で夢をもって暮らす人達に応援ソングとして拡がり、ふるさとへの愛着につながると嬉しいです。南信州の14市町村の多様な暮らしと人の魅力で地域内外の人々がつながり、一緒に未来に向かっていけるような取組を目指しています。」と語る。
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