ダクト用換気扇などを主力とする信菱電機(飯田市久米)が6月7日、シルクプラザ(育良町)で創立50周年記念式典を開いた。
1963(昭和38)年に創業者の川手光人さんが名古屋の自宅でプラスチック工場を起こし、その後、小牧市に工場を移転。当時はまだ世の中に普及していなかった「ダクト用換気扇」の組み立てを行ったのが同社の始まり。中央自動車道の開通や、三菱電機の換気送風機の主力工場である中津川製作所の新工場誘致が、光人さんの生まれ故郷である飯田市に実現すると、1974(昭和49)年、三菱電機飯田工場への部品供給とダクト用換気扇の一貫生産工場として信菱電機を設立した。
オイルショック、バブル崩壊、円高、リーマンショックなど幾多の危機や変化を乗り越えてきた50年。換気扇を主力に家電事業、FA、ビルシステム事業、自動車関連、コンビニ、OA、釣り具用品と新しい事業へも参入してきた同社。2009(平成21)年に2代目の川手清彦社長が就任すると、2014(平成26)年には新工場を完成。2018(平成30)年にはスマートファクトリー構想をスタートさせ、チャレンジを重ねる。
創立50周年を機に経営方針、事業計画の見直しを行う中で、時代に合ったスマートファクトリー計画の見直しを進める同社。現在は1万1,000坪の敷地に7つの工場棟があり、6月末には4つ目のスマートファクトリー工場を竣工する予定。川手社長は「先端技術を生かしながら環境や労働環境に配慮するような工場づくりを目指す。量産体制と個産体制を分け、生産の効率化を図る」と話す。
式典では佐藤健飯田市長が「スマートファクトリーを多くの小学生がワクワクしながら見学し、山本小学校でのワークショップが表彰され、大型クーラーボックスがふるさと納税で3000万円を超える人気商品になるなど、飯田市に多大な貢献をしている」とあいさつで述べ、飯田商工会議所の原勉会頭は「川手さんが50周年という大変忙しい中、ゴルフでホールインワンを達成した」という強運エピソードを披露し、会場の笑いを誘った。
式典でのあいさつで「地域循環型企業を目指す」など4つの目標を示し、「新しい価値の創造」を行うとした川手社長は「名古屋で生まれたが飯田は大好き。コミュニティーがとてもいいと感じる。会社も社員も地域活動に積極的に参加し、利益は社員へ還元したり、設備投資したりするだけでなく地域貢献にも反映していく」と地域への思いを語る。