「爪切り処ひなめ」(飯田市通り町大横)が5月20日で、1周年を迎えた。
同店はドイツ式フスフレーゲ(いわゆるフットケア)のサービスを提供する。店主の森本智子さんは「外反母趾(ぼし)と重度の巻き爪だった祖父の足をどうにか助けたい」との思いから、巻き爪補正や介護予防の観点からフットヘルパー、靴の歴史の長いドイツの「フスフレーゲ」などを勉強し習得したという。
フットケアの中で特に爪は大切で、手に爪がないと紙一枚持てないとも言われており、森本さんは「足は地面からの圧力を受け止めてくれる部分。靴の履き方一つで巻き爪やたこ、うおのめの原因になったりする」と話す。利用客には普段履いている靴を持ってきてもらい、フットプリントをとって、足の圧がどこにかかっているかを見るなど、靴から足の健康を考えることもあるという。
「足はトラブルがあっても顔や手と違い、毎日見る部分ではないので、何か起きてからでないと対処しようとは思わない。痛みが出てくると足をかばい、外に出るのもおっくううになり、悪循環にもなる」と森本さん。「全身の土台となる部分なので、若い時から足に興味をもってもらい、手入れをする習慣をつけてほしい」とも。
開業から1年、「娘が高齢の親の足を見てほしいと連れてきたり、定年退職後の女性が足を気にして来てくれたりした。70~80代の人の巻き爪、たこ、うおのめの相談も多い」という。すり足で来た高齢の方が普通に歩いて帰ったりすることもあったという。「手探りの一年だったが、『楽になったよ』と言われるのが一番やりがいを感じる」とも。
森本さんは「地元の橋南地区は、りんご並木を中心にして、自動車に乗れない高齢者でも、ベビーカーを押す若い夫婦でも、誰もが歩いて日常生活が送れるまちづくりを目指している。子どもから高齢の方まで足を大事にし、足元が元気で皆が歩けるまちづくりの手助けができれば」と思いを話す。
今後は「公民館などを拠点に高齢者に足の健康の大切さを伝える啓発活動や、飯田市のビジネスプランコンペにも挑戦したい」と意気込む。
メニューは爪切り、角質ケア、爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)ケア、巻き爪ケアなどで、訪問ケアにも対応。森本さんは「足の悩みの話を聞かせてもらうだけもいい」と来店を呼びかける。
営業時間は9時~16時。完全予約制。