写真家・杉山章さんの写真展「海のまなざし」が3月1日から、飯田創造館(飯田市伝馬町)で開催される。
小学生の頃から写真に興味を持ち、風景や人物を撮影し印画紙に焼くなどしていた杉山さんは、42歳の厄年を迎えた1993(平成5)年、「展開を広げる」との思いでスキューバダイビングを始め、水中写真への挑戦をスタートした。
撮影場所は主に沖縄の石垣島や和歌山の南紀串本で、太陽の光が少し届く程度の、水深18~20メートルほどが多いという。体長7~8センチの魚を、50センチほどの近距離で、ライトやストロボ使い「本来の色」を撮影する。30年間に撮り続けた写真を、四切ワイドサイズなどへ仕上げ、数十点を展示する。
「写真を撮ろうとすると、魚に表情がある気がした。観察しがてら撮影するうちに、どんどん楽しくなっていった」と、杉山さんは水中での撮影を振り返る。「30年間で、フィルム撮影からデジタルへと変わった。変遷を見ていただくのも面白いのでは」とも。
現在は名古屋市在住の杉山さんは飯田高校(上郷)の卒業生で、同展は同校同学年の「飯田高校第22回卒業生 二二会」が協力している。
杉山さんは「被写体と私が確かにここに居たという証。自身の心情が作品に反映される気がする。海の生き物の『その瞬間』に、シャッターを押せるかどうか」と、写真の魅力を話す。
今回のテーマ「海のまなざし」について、「水中に潜り、被写体を見つけフレームに収める『私からのまなざし』と、30年の間に海を汚してしまった人間を、魚たちが見ている『海の生き物たちからのまなざし』が、少しでも作品から伝えることができたら」と来場を呼びかける。
開館時間は9時~17時(最終日は16時まで)。3月3日は15時からギャラリートークを行う。3月5日まで。