飯田の中心市街地に5月、スーパーマーケット2店が相次いでオープンした。これまであったスーパーが閉店し、自動車など買い物の「足」がない高齢者などにとっては待望のオープンとなった。
飯田駅前の旧ピアゴ跡地に市の施設などが入る複合施設「丘の上 結いスクエア」(飯田市東和町2)が5月19日にオープンし、その1階に日用品や生鮮食品も扱う「ツルハドラッグ飯田駅前店」が出店した。同施設は、ピアゴの前身に当たる「ユニー飯田駅前店」が1974(昭和49)年に開業した地上5階・地下1階建ての総合スーパーで、昭和50~60年代には市街地のにぎわいの中心の一つでもあった。しかし買い物の中心が市街地から郊外に移るにつれて売り上げも減少し、2018(平成30)年9月にピアゴは閉店し、市街地に住む住民の買い物に不便が生じていた。
翌20日には中心市街地に立つ「トップヒルズ本町」(本町1)の1階に生鮮食品などを扱う「なみきマーケット」がオープンした。この場所は飯田下伊那地域でスーパーを展開する「キラヤ」が3月末で「本町店」を閉店した場所。3月閉店のニュースが流れると近隣住民らが閉店撤回を訴え署名活動などを行ったが、3月31日に閉店していた。「なみきマーケット」を経営するのは、土産菓子製造などを手がけるマツザワ(高森町)で、本町一帯にはかつて魚市場があり「城下町の台所」と呼ばれていたことから鮮魚や青果などをそろえ、土産品も並べ市内を訪れる観光客にも対応する。
かつては多くの人出でにぎわった飯田市街地も、時代が平成に変わったころから飯田インターへのアクセス道となる「アップルロード」などの整備に伴い、大きな駐車場を備えた大型店が相次いで郊外に誕生し、城下町だった中心市街地では買い物客が減り、人口も減少していった。そして近年、ピアゴもキラヤ本町店も閉店し市街地からスーパーが姿を消し、日常の買い物ができる場所が無くなっていた。
今回の「ツルハドラッグ飯田駅前店」「なみきマーケット」のオープンに、佐藤健飯田市長は「丘の上の元気につながってほしい。行政もサポートしたい」と期待を込める。