飯田をはじめ日本各地に伝わる昔話や世界の「おはなし」を語る「おはなしのとびら~おおきい人のためのおはなし会」が10月15日、柳田國男館(飯田市追手町)で開催され、15歳~83歳の老若男女約50人が生の声で語られる「おはなし」の世界を楽しんだ。主催は飯田下伊那のボランティアグループ「おはなしのいす」。
「おはなしのいす」は7年前に、飯田市のムトス助成金を得て柳田國男館で開かれた講座(講師・昔ばなし研究家の小澤俊夫さん)の受講生が立ち上げ、現在、月1回の勉強会を続けながら、飯田下伊那の小学校や保育園に「おはなし」を素話で届ける活動を行っている。今回、初めて大人向けの会を開いた。
普段から子どもたちに喜ばれている昔話や創作話の他、今は語られなくなっている飯田の昔話も語る。ゲストの久野愛子さん(豊橋市)は語りの他、自身が小澤さんと再話し著した西三河の昔話絵本「おにとあんころもち」を読み聞かせた。
会場の柳田國男館は、東京・成城にあった柳田國男の書屋で、柳田の没後、本籍地だった飯田市に移築された。約70年前、柳田は、書屋を訪れた小澤さん(当時大学院生)に、日本の昔話も研究してほしいと日本昔話への思いを伝えた。そのことをきっかけに、現在93歳の小澤さんは、日本の昔話を声で伝えていく大切さを伝え続けているという。
グループ代表の佐藤圭代さんは「柳田國男の昔話への思いを私たちも受け継げてうれしい。子どもに語る生の声に、子どもへの愛情が注がれる。おはなしを聞く楽しさを感じてくださった大人の方に、今度は、自身の声で子どもにおはなしを聞かせてあげてもらえたら」と話す。