国土交通省中部地方整備局や長野県、南信地方の28市町村が5月22日、飯田市川路地先で「令和4年度天竜川上流総合水防演習」を行い、690人の演習参加者を含む約1000人が集まった。
天竜川で訓練を行うのは9年ぶり。飯田市川路のメイン会場の他、伊那市や諏訪市のサテライト会場でも演習を行い、中継をつないでメイン会場の大型ビジョンで演習を披露した。近年頻発している洪水被害、大規模土砂災害を想定しての訓練で、主に水防団による水防工法や防災機関などによる救命訓練などを実演した。天竜川の防災拠点としての役割を持つ天竜川総合学習館「かわらんべ」(飯田市川路)では、かわらんべ講座に参加した子どもたちが演習の一つである土のう作りを体験した。
近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)技術の発達により、災害現場でも多くの技術が活用されている。伊那市では情報通信インフラを搭載したバスが、単身高齢者など市役所まで出向くことが困難な住民を訪問し、行政サービスを行う事業を展開している。その他、Car-SAT(カーサット)やドローンによる被災状況の調査やKu-SAT(ケーユーサット)での通信の確保、無人VTOL(ブイトール)による物資輸送、パワースーツによる作業のアシストなどの技術も披露した。
水防演習の総指揮者を務めた飯田市消防団の坂巻剛弘団長は「無事に終わってほっとした。大役を務めて少し自分が成長できた。他の地域の消防団と訓練の外でも交流が持てた。組織は違えど立場は同じ消防団なので、自分たちの地域は自分たちで守るという使命は同じ。いい訓練になった」と振り返る。